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opera110

 投稿者:constanze  投稿日:2017年 8月17日(木)10時22分22秒
返信・引用
  NUM : 115
投稿日時: 2017年 8月 9日(水)22時05分34秒
投稿者 : constanze
メール :
タイトル: opera110
内容  :
Mozart
モーツァルト(1756~1791)後宮からの誘拐
Die Entführung aus dem Serail

台本:クリストフ・フリードリヒ・プレッツナーのジングシュピール用台本『ペルモンテ    とコンスタンツェまたは後宮よりの誘拐』をゴットリープ・シュテファニーが自由に改作。
作曲:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1781-1782年)
初演:1782年7月16日、プルク劇場(ウィーン)
演奏時間:序曲 4分、第一幕 35分、第二幕 64分、第三幕 35分
時・所:18世紀、トルコ

登場人物
セリム・パシャ(トルコの太守)・・・・・・・トビアス・モレッティ(台詞)
コンスタンツェ(スペイン貴族の娘)・・・・・デジレー・ランカトーレ(ソプラノ)
ブロンデ(コンスタンツェの女中)・・・・・・レベッカ・ネルセン(ソプラノ)
ベルモンテ(コンスタンツェの恋人)・・・・・ハビエル・カマレナ(テノール)
ペドリロ(ベルモンテの従僕)・・・・・・・・トーマス・エーベンシュタイン(テノール)
オスミン(太守の後宮の番人)・・・・・・・・クルト・リドゥル(バス)
ザルツブルグ・バッハ合唱団
カメラータ・ザルツブルグ管弦楽団
指揮:ハンス・グラフ
演出:アドリアン・マルターラー
2013年8月26日 ザルツブルグ空港格納庫(オーストリア)


作品解説
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756~1791)がウィーンにおける名声を決定的にした名作である。
1780年の夏、モーツァルトはミュンヘンで上演するオペラの作曲を依頼された。クレタの王イドメネオの物語に基づいたオペラである。イドメネオは船を難破から救ってくれるなら、上陸して最初に会った者を生賛として捧げると海神ネプチューンに約束する。ところがその生賛になる人間が息子のイダマンテになってしまうという話で、モーツァルトはザルツブルクで作曲を開始した。その年の11月、彼は雇い主であったザルッブルクの
大司教に休暇を願い出て、ミュンヘンに向かう。この《クレタの王イドメネオ》は翌81年1月に初演され、かなりの成功を収めた。モーツァルトは3月の初めまでミュンヘンに滞在していたが、突如ウィーンヘ来るように命令を受ける。
ザルツブルクの大司教が許可した休暇期限はとうに切れており、ウィーンのヨゼフ2世の皇帝即位を祝うためにウィーンを訪れていた大司教から呼び出しを食ったのである。大司教との確執はここで決定的となり、ついにモーツァルトは解任される。しかし《イドメネオ》の成功により自信を深めていた彼は、ウィーンに活動の拠点を移すには絶好のチャンスと喜んだに違いない。
この年の7月末に《後宮からの逃走》の台本を受け取り、作曲を開始した。途中、台本改訂をはじめ、いくつかの問題が浮上したが、ヨゼフ2世がドイツ・オペラの振興に積極的だったことも手伝って、82年7月16日、ウィーンのブルク劇場で初演され、大成功を収めた。この初演については皇帝ヨゼフ2世が「音が多過ぎる」と述べたのに対してモーツァルトは「音は正確に必要なだけでございます。陛下」と答えたというエピソードが伝えられているが、映画≪アマデウス≫の中でもこのシーンが描かれていた。華麗なるコロラトゥーラの高音から、超低音のバスの魅カまであらゆる声の技法を駆使して作られている楽しい名作。オスミンを初め二組の恋人たちの性格づけも相当良く出来ている。ジングシュピールとして《魔笛》に先立つ重要な作品。

第一幕

海に面した太守セリムの宮殿の庭
恋人コンスタンツェが航海中海賊に襲われ、従僕のペドリロ、女中のブロンデと共にトルコの太守の宮殿に売られた事を伝え聞いたベルモンテは、恋人救出のためこの館にやって来る。そこに後宮の番人オスミンが庭の手入れに来るので、様子を探ろうとするが追い返されてしまう。入れ替わりにペドリロが現われるので、彼が気に食わぬオスミンは喧嘩腰に歌い出す、アリア[乙女の尻追う風来坊 Solche hergelaufne Laffen] お前が太守に気に入られてなけりゃ、とっくの昔に首を吊してやるのにと怒ってオスミンは退場する。そこに再びベルモンテが現われ、ペドリロは驚き、コンスタンツェ様は太守のお気に入りで毎日口説かれているが、固く貞操を守っていると報告する。ベルモンテは喜び、[コンスタンツェ、君に再び会える Constanze, dich wiederzusehen, dich !]と美しいアリアを歌う。太守が現われる物音に二人は隠れる。コンスタンツェを従え現われた太守は彼女に、これまで手荒なこともせず自然に愛してくれるまで待って来たが、何故そうかたくななのだと問う。彼女は華麗なるアリア[私は愛してましたAch,ich liebte]の中で恋人がいることを告白する。寛大な太守も期限は明日までだと言い、彼女を退らせる。そこにペドリロがベルモンテをイタリアの建築技師と紹介し、太守に召し抱えて下さいと願い出る。太守は彼を雇う事にし立ち去る。ペドリロとベルモンテが宮殿に入ろうとするとオスミンが現われ、ベルモンテを入れまいとして愉快な三重唱となるが、太守のお墨付きのある彼はオスミンをつきとばして、宮殿に入っていく。

第二幕

宮殿の庭、傍にオスミンの住居
オスミンの女奴隷にされてしまったブロンデは言い寄るオスミンに、トルコの女奴隷なら別でしょうが、ヨーロッパの娘には威しでは駄目よと、アリア[乙女心をとらえるには Durch Zärtlichkeit und Schmeicheln]を歌う。女に優しくなんて出来るかとオスミンは、力ずくでもとせまるが、彼女は、私の御主人様は太守の恋人で、もし私が一言いえば
あんたなんかすぐ鞭で打たれるわよと脅し、いまいましがるオスミンと二重唱になり、ついにオスミンを追い出す。コンスタンツェが現われ静かに歌い出す、アリア[あなたと離れて、悲しみは私の運命に Traurigkeit wart mir zur Lose]そこに太守が現われ、今日の期限もまもなく終わると迫り、もし言うことをきかぬならあらゆる責苦があるのだがと
脅して彼女の心変りを求めるが、コンスタンツェはアリア[どんな責苦があろうともMatern aller Arten mögen meiner warten] を歌い彼女の心が変わらぬことを告げ、太守と共に退場する。そこにペドリロが現われブロンデに、ベルモンテ様が救けに来て下さったから、オスミンに眠り薬入りの酒を飲ませ、夜中にコンスタンツェの部屋の窓に梯子をかけてこの宮殿を抜げ出し、ベルモンテの用意した船で逃げ出そうと脱走計画を話す。ブロンデは[なんという喜び Welche Wonne, welche Lust]とアリアを歌い、コンスタンツェにこのことを告げに行く。そこに現われたオスミンにペドリロは酒をすすめる。マホメット教徒である彼は酒を飲んではならぬのだが、ついに誘惑に負けて飲み出しベロベロに酔って、バツカスを讃えて歌い出す、二重唱[バツカス万歳 Viva Baccus]ペドリロはオスミンを眠らせてからベルモンテを連れてくる。恋人に会えることを喜ぶベルモンテのアリア[喜びの涙が Wenn der freude Tränen fliessen] ブロンデがコンスタンツェを連れてくる。喜びの再会の四重唱。ところが男二人は恋人たちの貞操を疑う。疑われてコンスタンツェは泣き出し、ブロンデはペドリロに平手打ちをくらわす。二人の態度に男たちは疑いを晴らし、疑ったことを詫びて、四人は仲直りをする。

第三幕

第一場 太守の宮殴の前の広場
真夜中逃亡の準備を整えてやってきたベルモンテはペドリロに合図の歌を歌わせる、ロマンツァ[ムーア人の国に捕われたIn Mohrenland gefangen war] 窓辺に現われたコンスタンッェは梯子を降り、ペドリロはブロンデを救いにはしごを昇っていく。ところがこれを見つけた唖の黒人の召使の知らせで、全員一網打尽、オスミンは奴らの首も飛ぷのだと喜ぶ。
第二場 太守の部屋
オスミンが四人をしょっぴいて来る。ベルモンテは、私は本当はオランの司令官ロスタドスの息子、多額の身代金を払いますからお許しをと願うが、逆効果。仇敵ロスタドスの息子とあっては絶対絶命。太守は四人の処置をいかにするかオスミンを連れ別室に考えに行く。ベルモンテとコンスタンツェは心静かに死ぬ覚悟をする。ペドリロとブロンデはやけっばち。そこに再び現われた太守は復讐ほど醜いものはないと四人を罰せず、祖国に船で帰ることを許す。オスミンだけは不満で大いに憤慨するが、皆は太守の徳を讃え幕となる。
________________________________________
この映像について  松沢憲(音楽評論)

この映像は2002年5月、イタリアはフイレンツェ、ペルゴラ劇場におけるライヴ記録である。ドイツの演出家、アイケ・グラムスの新演出による上演で、ズービン・メータ指揮のマッジョ・ムジカ・フィオレンティーノによる演奏。このオーケストラは1935年、ブルーノ・ワルターの指揮で《後宮からの逃走》のイタリア初演をした団体である。
序曲が始まってすぐに私たちは舞台に目を奪われる。色とりどりの巨大な間仕切が現れて舞台を区切る。これらたくさんの間仕切が、ある時は城壁になり、またある時は門になり、そして扉になったり窓になったりするのだ。そしてそういう具体的な役割を果たすことによって、セリムの邸とその周辺で展開する、そもそも変化の少ない《後宮からの逃走》の舞台に、視覚的な幅を生み出しているし、これらが上下左右に動かされることによって場面転換が巧みに行われ、歌手たちの動きをよりダイナミックに感じさせるという効果も指摘していいだろう。第1幕でコンスタンツェがアリアを歌って舞台の奥に引っ込み、太守1人が取り残されるが、その時、コンスタンツェの動きに合わせて間仕切が動き、瞬時に場面が変わる。太守に動きはないのに、あたかも瞬間移動したかのようなダイナミックさだ。そしてこういう間仕切の動きは空間的な深さを錯覚させることにも寄与している。第1幕、第5曲の合唱で、太守とコンスタンツェが登場する場面や、ベルモンテとペドリロがオスミンの制止を振り切って邸内に入ってゆくシーンはその好例と言えよう。結局はこの間仕切が大きなセットの必要性をなくし、舞台がシンプルに、そして観る側の想像力を掻き立てることにもつながっている。加えてこの間仕切の美しさはどうだろう。西洋的な雰囲気でもあり、東洋的な匂いもするデザインになっているし、多彩な照明の変化によって見せる色彩的な美しさは特筆していいと思う。 歌手陣も総じてすばらしい。何と言っても主役のコンスタンッェを歌うエヴァ・メイがその美貌もさることながら、美しく張りのある声とドラマティックな表現で存在感はピカイチだ。コンスタンツェはメイのデビュー時の役柄であって、彼女の十八番なのである。コロラトゥーラの役柄の中でも難曲を抱えたコンスタンツェだが、メイの高音は軽くよく転がる。さらに彼女の声はリリックではあってもたいへんパワフルなのだ。コロラトゥーラでありながら芯の強いパワフルな声は、固く操を守るという強い意志を表明するコンスタンツェに最適と言っていいのではないだろうか。
実際、第1幕のアリア〈私には恋人がいた〉や第2幕のアリア〈どんな責苦があろうと〉におけるメイの毅然とした力強さは、私たち聴き手の胸を打たずにはいない。特に後者のアリアは猛烈に感動的だ。歌にも演技にも決然とした勇気がみなぎり圧倒的な情熱がほとばしっており、その美しさは聴いていて声をあげて泣きたくなるほどで、きわめて格調高く、神々しくさえある。この直前のアリア<あなたから引き離され〉でもその表情的な歌が美しい上に、やはり強靭な意志を思わせる一途さがたいへんすばらしい。この連続する2つのアリアこそ、全曲中最大の聴きどころ、見どころであろう。
ベルモンテを歌うライナー・トロストはメイ=コンスタンツェの強い愛を受け止めるにはいささか弱々しい気もするが、その美声はやはり魅力的で、表情の作り方もたいへん素直だ。<喜びの涙が流れる時〉や終幕のコンスタンッェとの二重唱<何という運命〉では情熱的な歌を聴かせている。
ペドリロを歌うメフルザード・モンタゼリ、ブロンデを歌うパトリッィア・チョーフィ、オスミンを歌うクルト・リドゥルら脇役陣も、歌、演技ともに巧い。リドゥルはさすがに貫禄だが、若いモンタゼリとチョーフィも、その存在感は小さくない。
チョーフィはチャーミングな演技が印象的だし、ソロの歌はアリアとロマンスの2曲だけのペドリロを、モンタゼリは瑞々しい張りのある声で披露している。
 
 

109

 投稿者:favorita  投稿日:2017年 8月17日(木)10時18分13秒
返信・引用
  2017年8月26日(土)  午後1時30分~
Donizzeti
ドニゼッティ(1797~1848)  ファヴォリーテ
Favorite

[原作]:バキュラール・ダルノーの戯曲「コマンジュ伯爵」
[台本]:仏語/ロワイエ/Alphonse Royer/ヴェース/Gustave Vaez
    伊語:ヤンネッティ/F.Jannetti
[初演]:1840年12月2日パリ・オペラ座
[時所]:1340年スペイン北部の聖地サン・ジャコモ・デ・コンポステルラ
[上演時間]:2時間22分(第一幕40分、第二幕28分、第三幕35分、第四幕39分)

[登場人物と出演者]

レオノーラ(Leonora di Gusmanアルフォンソ11世の愛人)・・・エリーナ・ガランチャ(Ms)
フェルナンド(Fernando修道士)・・・・・・・・・・・・・・マシュー・ポレンザーニ(T)
アルフォンソ11世(Alfonso XIカスティーリャ国王)・・・マリューシュ・クヴィエチェン(Br)
バルダッサーレ(Baldassarreサンティアゴ・デ・コンポステーラ修道院長)・ミカ・カレス(B)
ドン・ガスパーロ(Don Gasparo廷臣)・・・・・・・ジョシュア・オーウェン・ミルズ(T)
イネス(Inesレオノーラの侍女)・・・・・・・・・・・・・・・・・・エルザ・ブノワ(S)
バイエルン国立歌劇場管弦楽団・バイエルン国立歌劇場合唱団
指 揮:カレル・マーク・チチョン
演 出:アメリ・ニーアマイア
2016年11月3日、6日 バイエルン国立歌劇場(ドイツ・ミュンヘン)

[概説]
ファヴォリータとは「お気に入り」「愛人」「側室」を意味する。現在はほとんど伊語で上演される。 この年ドニゼッティはパリで3つのオペラ(連隊の娘、マティルス、ファヴォリータ)を初演している。


あらすじ

[第一幕]
第1場 修道士フェルナンドは祈りを捧げに来た美女に恋をした。しかし彼女は国王アルフォンソの秘密の愛人レオノーラだった。そうとはしらないフェルナンドは父で修道院長のバルダッサーレにその恋を告白する。激しいやりとりの後、ついにバルダッサーレはフェルナンドの僧籍離脱を認め、修道院から追放する。

第2場 レオーネ島の岸辺
恋した乙女が国王アルフォンソの愛人レオノーラだということを知らないフェルナンドは、彼女の館のある島に目隠しをされて渡ってきた。だがレオノーラは自らの名前を名乗ることも出来ない。フェルナンドは彼女に結婚を迫るが、レオノーラは「愛すればこそ別れて欲しい」と言って彼に手紙を渡す。フェルナンドは武勲を立てて彼女の愛を得る決心をする。

[第二幕]
セヴィリアのアルカザール宮殿
フェルナンドはイスラム教徒を討伐して武勲を立て、国王の信頼も得た。一方国王アルフォンソは宮廷の反対を押し切りレオノーラと結婚しようとするが、レオノーラは国王に暇を請う。華やかな戦勝の祝宴が開かれる。そこに式部官のドン・ガスパールが現れ、レオノーラに宛てた手紙を侍女から奪い国王に示す。国王は差出人を問いつめるが、レオノーラはその名前を明かさない。そこに修道院長のバルダッサーレが現れ、王妃である自分の娘をないがしろにして、愛人に入れ込む国王をなじり大混乱となる。

[第三幕]
宮廷の大広間
フェルナンドが凱旋する。国王アルフォンソに武勲の褒美を問われるが、いまだレオノーラが国王の愛人であることを知らないフェルナンドは、そこにいるレオノーラを所望する。耳を疑うレオノーラ。国王は動揺するが、レオノーラの心が離れてしまったことを悟り、その復讐心から、一時間後に結婚式を挙げるように命じて退場する。レオノーラの胸は愛する人と結ばれる喜びと、国王の愛人だった過去が知られることへの不安が交錯する。レオノーラは式の前にフェルナンドにこの事実を伝えるべきだと考え、侍女イネスに頼むが、そのイネスは捕らえられてしまう。何も知らないフェルナンドと不安におののくレオノーラとの結婚式が執り行われる。そこにフェルナンドの父修道院長のバルダッサーレが現れ、レオノーラが国王の愛人だったことを告げる。その事実を知らなかったのはフェルナンドだけであり、屈辱に震えるフェルナンドは国王から授かった勲章を床に叩き付ける。

[第四幕]
聖ジャコモ修道院
フェルナンドは絶望して修道院に戻っていた。修道院では亡くなった王妃の死を悼む祈りが捧げられている。そこに瀕死の尼僧が現れ倒れる。助け起こしたフルナンドは、その尼僧がレオノーラと知っておののく。レオノーラは最後の力を振り絞り、騙すつもりはなかったと許しを請う。心を打たれたフェルナンドは今度こそ愛の生活を…と言うが、時既に遅く、安らぎを得たレオノーラはフェルナンドの腕の中で息絶える。フェルナンドの悲しみの絶叫が響き渡る。
 

opera109

 投稿者:badenbaden  投稿日:2017年 7月19日(水)13時53分22秒
返信・引用
  オペラを楽しむ会月例会(第109回)
2017年7月22日(土)  午後1時30分~
バーデン・バーデン ガラ・コンサート2016


プログラム
1.歌劇「タンホイザー」から <おごそかなこの広間よ> (ワーグナー作曲)
アニヤ・ハルテロス(ソプラノ)

2.歌劇「ファウスト」から  ワルツ (グノー作曲)

3.歌劇「ファウスト」から <金の子牛は常に生きて> (グノー作曲)
ブリン・ターフェル(バス・バリトン)

4.歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」から 間奏曲  (マスカンニ作曲)

5.歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」から <ママも知るとおり> (マスカンニ作曲)
アニヤ・ハルテロス(メゾ・ソプラノ)

6.歌劇「トスカ」から <星はきらめき>  (プッチーニ作曲)
エカテリーナ・グバノヴァ(メゾ・ソプラノ)
ヨナス・カウフマン(テノール)

7.歌劇「メフィストーフェレ」から <私はあまのじゃく>」 (ボーイト作曲)
ブリン・ターフェル(バス・バリトン)

8.歌劇「仮面舞踏会」から <私の最後の願い>  (ヴェルディ作曲)
アニヤ・ハルテロス(ソプラノ)

9.歌劇「アドリアーナ・ルクヴルール」第2幕から  (チレア作曲)
エカテリーナ・グバノヴァ(メゾ・ソプラノ)  ヨナス・カウフマン

10.歌劇「マノン・レスコー」から間奏曲  (プッチーニ作曲)
11.歌劇「トスカ」第2幕から  (プッチーニ作曲)
アニヤ・ハルテロス(ソプラノ) ブリン・ターフェル(バス・バリトン)

12.歌劇「アイーダ」から バレエ音楽 (ヴェルディ作曲)

13.歌劇「オテロ」から <すでに夜もふけた>  (ヴェルディ作曲)
アニヤ・ハルテロス(ソプラノ) ヨナス・カウフマン(テノール)

アンコール
1.歌劇「カルメン」からハバネラ <恋は野の鳥> (ビゼー作曲)
エカテリーナ・グバノヴァ(メゾ・ソプラノ)

2.歌劇「わが友フリッツ」から <わずかな花>  (マスカーニ作曲)
アニヤ・ハルテロス(バス・バリトン)

3.ミュージカル「屋根の上のバイオリン弾き」から <もし金持ちだったなら>(ボック作曲)
ブリン・ターフェル(バス・バリトン)

4.映画「ゴッドファーザー」 愛のテーマ  (ニーノ・ロータ作曲)
ヨナス・カウフマン(テノール)

5.喜歌劇「ほほえみの国」から <きみはわが心のすべて> (レハール作曲):
         アニヤ・ハルテロス(ソプラノ)  エカテリーナ・グバノヴァ(メゾ・ソプラノ)
ヨナス・カウフマン(テノール)  ブリン・ターフェル


アニヤ・ハルテロス(Anja Harteros)(ソプラノ)
エカテリーナ・グバノヴァ(Ekaterina Gubanova )(メゾ・ソプラノ)
ヨナス・カウフマン(Jonas Kaufmann)(テノール)
ブリン・ターフェル(Bryn Terfel)(バス・バリトン)
管弦楽:バーデン国立管弦楽団
指揮:マルコ・アルミリアート
2016年7月22、24日バーデン・バーデン祝祭劇場


出演者
ソプラノ アニヤ ハルテロス(Anja Harteros)
ギリシャ人の父とドイツ人の母のもと1972年、西ドイツ ベルクノイシュタットに生まれる。1999年カーディフ声楽コンクールに優勝後、ミュンヘンでデビュー。伯爵夫人、ドンナ・アンナ、アラベラ、ヴオレッタなどで圧倒的人気を得る。他のレパートリーに元帥夫人、エルザ、エリーザベトなど。2010年のスカラ座「シモン・ボッカネグラ」でも絶賛された。
テノール ヨナス・カウフマン(Jonas Kaufmann)
Jonas Kaufmannは、ドイツ出身のテノール歌手である。テノールには珍しい暗く重い声質と、端正な容姿で国際的に人気が高い。1969年ミュンヘンに生まれ、ミュンヘン音楽・演劇大学で声楽を学ぶ。在学中から地元の歌劇場でオペラの舞台に立ち、小さな役での下積み時代が長かった。2001年にチューリッヒ歌劇場の専属歌手となり、数多くのオペラに出演する。ソプラノ歌手アンジェラ・ゲオルギューが、2004年ロイヤルオペラハウスの『つばめ』(プッチーニ)、2006年メトロポリタン歌劇場の『椿姫』(ヴェルディ)などの相手役として、当時まだ無名だったカウフマンを指名したことで注目を集め、その後の国際的活躍のきっかけとなる。若い頃はリリックな声であったが、声帯の故障で発声法を再構築したことにより、現在の暗く重い声となった。「バリトンのような声」と評されることが多いが、高音は輝かしく、力強さと繊細さを兼ね備えていることが特徴である。レパートリーは幅広く、母国ドイツのワーグナーなどのみならず、イタリアオペラ、フランスオペラ、歌曲など多くの作品を歌い、世界中の大歌劇場やバイロイト音楽祭などで活躍を続けている。しかしキャンセルが非常に多いことで有名で、特に日本においては6回の来日公演をキャンセル、またニューヨークのメトロポリタン歌劇場においても2015年から3年連続で全公演をキャンセルしており、生で聴くことが難しい歌手となっている。


バス・バリトン ブリン・ターフェル(Bryn Terfel)

イギリスのバス・バリトン歌手。本名はブリン・ターフェル・ジョーンズ(Bryn Terfel Jones)。北ウェールズのパントグラスの農家に生まれ、ロンドンのギルドホール音楽演劇学校を卒業。1989年にBBCカーディフ国際声楽コンクールで入賞(優勝はディミトリー・ホロストフスキー)し、1990年にウェールズ・ナショナル・オペラにおいて「コジ・ファン・トゥッテ」のグリエルモ役でデビュー。1991年にイングリッシュ・ナショナル・オペラ(「フィガロの結婚」のタイトルロール)、1992年にはロイヤル・オペラ・ハウス(「ドン・ジョヴァンニ」のマゼット役)、ザルツブルク音楽祭(「サロメ」のヨハネ役)でそれぞれデビューし、ドイツ・グラモフォンと契約する。さらに1993年にはパリのシャトレ座、1994年にはニューヨークのメトロポリタン歌劇場に進出、そのレパートリーもジェームズ・レヴァインの指揮でマーラーの交響曲第8番を歌い(アメリカ、イリノイ州のラヴィニア・フェスティバル)、ワーグナー、ストラヴィンスキーなど、より重いものに拡がった。一方でポピュラー音楽など他分野にも意欲的であり、バリー・ワーズワース指揮ロンドン交響楽団と協演したアルバム「シンプル・ギフト」で2007年の第49回グラミー賞を獲得している。2000年からウェールズでファイノル・フェスティヴァル(Faenol Festival)を自ら主催している。


バーデン・バーデン祝祭劇場(Festspielhaus Baden-Baden)


バーデン・バーデンはドイツ南西部に位置し、フランスやスイスと近接する地域。温泉を擁する保養地として知られている。フェストシュピールハウスバーデンバーデンは、2,500席の客席で、ドイツ最大のオペラ・バレエやコンサートを開催している劇場ハウスでバーデンバーデン鉄道駅と一体化しています。


 

opera109

 投稿者:agrippina  投稿日:2017年 5月28日(日)15時41分25秒
返信・引用
  Handel
ヘンデル(1685~1759)アグリッピーナ
Agrippinaie

[作曲]:ゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデルGeorg Friedrich Handel(独1685-1759・英に帰化)
[台本]:ヴィンチェンツォ・グリマーニVincenzo Grimani(伊語)
[初演]:1709年12月26日サン・ジョヴァンニ・グリゾストモ劇場(ヴェネツィア)Teatro San Giovanni Grisostomo
[演奏時間]:約2時間50分(第1幕75分、第2幕60分、第3幕35分)

概説
ヘンデルがイタリアに滞在していた時期(21才~25才)に作られた2作のオペラのうちの1作で、ヴェネツィアでの初演は大成功だった。劇中の音楽はどれも秀逸で、彼のイタリア時代に培ったものの大きさを感じさせる。その頃作ったオラトリオ「復活」などの声楽曲の中から気に入った曲の転用もしている。登場人物には歴史上実在する人物の名を使っているが、話の内容自体は架空のものなので、史実の人物像とは違っている。同じ登場人物を題材にしたオペラに、モンテヴェルディの「ポッペアの戴冠」がある。

[登場人物と出演者]
クラウディオ(ローマ皇帝)・・・・・・・・・・・・・・ミカ・カレス(B)
アグリッピナ(皇后・クラウディオの後妻)・・・・・・・パトリシア・バードン(S)
ネローネ(アグリッピナの息子・皇帝の養子)・・・・・・ジェイク・アルディッティ(A)
ポッペア(皇帝から寵愛を受けるローマの貴婦人)・・・・ダニエル・ドゥ・ニース(S)
オットーネ(ローマの将軍・ポッペアの恋人)・・・・・・フィリッポ・ミネッチャ(A)
パッランテ(廷臣)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ダミアン・パス (B)
ナルチーゾ(廷臣)・・・・・・・・・・・・・・・・・・トム・ヴァーニー(B)
レスボ(皇帝の侍従)・・・・・・・・・・・・・・・・・クリストフ・ザイドル(B)
管弦楽:バルタザール・ノイマン・アンサンブル
指揮:トーマス・ヘンゲルブロック
演出:ロバート・カーセン
2016年3月22,29日アン・デア・ウィーン劇場(オーストリア)

『アグリッピナ』(Agrippina)は、1709年から1710年のヴェネツィア・カルネヴァル・シーズン用に作曲され、ネロの母アグリッピナがローマ皇帝クラウディウスを没落させ、息子を皇帝に即位させる話をあつかう。
グリマーニの台本はヘンデル作品では最高傑作とされ、反英雄的な風刺喜劇であり、時事的・政治的当てつけにあふれており、グリマーニのライバルの教皇クレメンス11世を風刺したとする者もいる。
ヘンデルはイタリアへの3年間の訪問の終わりに同作を作曲した。ヴェネツィアのサン・ジョヴァンニ・グリソストモ劇場で1709年12月26日に初演され、すぐに成功を収めた。オープニングの夜から27回連続公演と当時前例のない成功で、多くの批評家の称賛を受けた。
音楽の多くは当時の慣習に沿い、他の作品からのアレンジ、他の作曲家の作品からのパクリをふくんでいたが、編曲の質のために賞賛された。だれもが熱狂的に次作を求めたが、ヘンデルがさらに舞台に上がることはなかった。
初演以降も本作はたまに再演されていたが、ヘンデルのオペラが18世紀半ばに流行の枠外に落ちると、作品は民衆に忘れられた。20世紀にヘンデルのオペラはドイツで復活し、『アグリッピナ』は英国とアメリカで初演された。本作は近年は革新的な演出で上演され、2007年にはニューヨーク・シティー・オペラとロンドン・コロシアムで上演され、普及した。
現代の批評家の合意は、「『アグリッピナ』は新鮮さと音楽的発明を持ち、ヘンデルのオペラの最初の傑作であり、ヘンデルのリバイバルの中で最も人気のあるオペラの一つ」というものである。

現代リバイバル

2002年に超現代的ステージングでリリアン・グローグがニューヨーク・オペラにおいて上演した。この演出は2007年に改訂され、『ニューヨーク・タイムズ』紙は「変だ。『この私、クラウディウス』の『プロデューサーズ』バージョンみたいなサタイアだ」とし、歌唱・演奏については褒めた。
イギリスでは、イングリッシュ・ナショナル・オペラ(ENO)が2007年2月に英語版をデイヴィッド・マクヴィカー演出で上演し、好評だった。これらの最近の上演は、1997年のガーディナーの録音のように、初演時のカストラートの代わりにカウンター・テナーを使用している。


あらすじ
時と所:50年頃・ローマ帝国
[第一幕]
(第一場)アグリッピナの部屋
クラウディオが溺死したという報せに触れたアグリッピナは、ネローネにいよいよ皇帝の位につくべき時期が熟したので、ただちに人々の支持を集めるようにと勧める。ネローネは「お母様の助言で、ついに玉座に就くことが出来る。」と歌い、喜びを隠さない。アグリッピナは、自分に色目を使うパランテとナルチーソを利用しようと企む。彼女はまずパランテを呼び、彼への愛に心乱れている振りを装いつつ、市民がネローネの即位を要求するよう扇動してくれたら、パランテを夫にしようともちかける。パランテは勿論喜んで承知する。アグリッピナはナルチーソにも同じ手段で協力を約束させ、策略がうまくいきそうなのを喜び「ふぬけの心で王権を求めるには、恐ろしい嵐も恐れはしない。」と歌う。

(第二場)カンピドーリオの広場
ネローネは貧しい民衆に金を与え、パランテとナルチーソはネローネをほめたたえる。アグリッピナが登場、民衆にクラウディオの死を伝え、アグリッピナ、パランテ、ナルチーソはネローネを後継者に推し、ネローネはそれを受諾して玉座につく。その時、クラウディオの従僕レスボが登場、皇帝クラウディオはオットーネに助けられて、無事アンツィオに上陸したという報せを伝える。ネローネは慌てて玉座を降りる。オットーネが登場。クラウディオを助けた報償として、皇帝が彼に帝位を譲ると約束したことを誇るが、アグリッピナに向かって、自分は帝位よりもポッペアを愛していると打ち明ける。クラウディオがポッペアに心を寄せているのに気付いていたアグリッピナは、これを自分の目的達成のために利用しようと、「そなたは月桂冠に値する者」と歌い、オットーネを助ける約束をして彼を信用させる。

(第三場)ポッペアの部屋
ポッペアが身支度をしているところへ、レスボが登場、今晩クラウディオが訪ねてくると伝える。ポッペアは「恋の炎は心を焼き尽くす。でもどうやってかはわからない。」と歌い、オットーネが来るのならもっと嬉しいのにと残念がる。その様子をものかげで立ち聞きしていたアグリッピナは、ポッペアに向かって、オットーネは皇帝位継承とひきかえにポッペアをクラウディオに譲ったのだとウソをつき、復讐したければクラウディオになびくとみせて、オットーネを嫉妬させるようにと入れ知恵し、クラウディオのしつこい求愛から彼女を守ってやると約束する。ポッペアはたやすくアグリッピナの罠にはまり、「望むようになさい。あなたの軽蔑など受けません。」とオットーネへの復讐を誓う。そこへクラウディオがやって来るが、ポッペアはアグリッピナの計略に従って、彼を冷たくあしらう。クラウディオがポッペアを抱こうとした時、レスボがアグリッピナが来ると告げ、クラウディオは慌てて姿を消す。全てを立ち聞きしたアグリッピナが現れ、ポッペアと計画の成功を喜ぶ。

(第四場)カンピドーリオの丘
パランテとナルチーソは自分たちがアグリッピナに騙されていることを知り、互いに協力しようと意見が一致する。そこへオットーネが登場、つづいてアグリッピナ、ポッペア、ネローネが現れる。続いてクラウディオが凱旋車にのって登場。「ドイツを破り、ラテンの帝国に余は新たな領土をもたらした。」と歌い、自らの戦果を誇らしげに自慢するが、演説の長さに皆ウンザリする。アグリッピナはことさら献身的な愛を示してクラウディオを迎え、一同は彼の前に頭を下げる。クラウディオは大いに満足げな様子だが、オットーネが約束どおり譲位を求めると、彼を謀反人と非難する。クラウディオの心変わりに驚いたオットーネは、アグリッピナに救いを求めるが、アグリッピナからも不実者と罵られてしまう。ポッペア、ネローネもオットーネを嘲り退場する。オットーネは、「何とひどい雷が落ちたものだ。これよりひどい悲しみがこの世にあろうか。」と嘆き、このいわれのない非難に、クラウディオや他の人々を恨む。

[第二幕]
(第一場)庭園
ひとりたたずむポッペアは「心が悪意に苦しむなら、胸の中で愛は憎しみに変わる。」と歌い、オットーネが無実潔白であることを願っている。オットーネがやって来るのを見て、彼女は彼の様子を探ろうと、噴水のかたわらにすわって眠ったふりをし、“オットーネの裏切り者”とつぶやく。オットーネはポッペアのもとに駆け寄り、自分の潔白を信じないなら刺し殺してほしいと、ポッペアの手に剣を握らせる。ポッペアはアグリッピナが嘘をついた動機を理解し、「一度ならともかく、ポッペアは二度と欺けないわ。」と歌い復讐を決意する。ものかげで様子を窺っていたレスボが登場。クラウディオがポッペアを訪れる約束をして去ると、入れ替わりにネローネが現れる。ポッペアは考えるところがあって、ネローネにも彼女を訪ねてくるよう誘う。一方、アグリッピナは、パランテとナルチーソを信用しすぎたのではないか、オットーネやポッペアは油断がならないと、さまざまに思い悩み、そして「天よ。この企てに力を貸したまえ。私の息子が統治するよう。」と歌い、新たな策略をめぐらす。クラウディオが現れると、アグリッピナは愛情を装ってクラウディオの身の安全を心配し、オットーネの願いを退けて、ただちにネローネを皇帝位継承者と宣旨を下すよう求める。

(第二場)ポッペアの寝室
中央と両側にそれぞれ出入り口があって、カーテンがかかっている。ポッペアはオットーネに愛を誓い、彼にかくれているように、また何をきいても決して嫉妬しないようにと約束させる。オットーネが下手のカーテンのかげに身をくすと、ネローネが現れる。ポッペアは、ネローネへの愛を口にし、来るのが遅いとなじる。ポッペアが、ネローネをオットーネとは反対側の、上手のカーテンのかげにやっと押し込んだところへクラウディオが登場。ポッペアは巧みに彼を中央のカーテンのかげへと導いたのち、かくれているネローネに呼びかける。クラウディオが帰ったと早合点したネローネはクラウディオに見つかり、その叱責を受けてほうほうの体でアグリッピナのもとへ逃げ去る。ポッペアはクラウディオに、アグリッピナの怒りから自分を守ってくれるように約束させて、彼を送り出したのち、「本当の愛を楽しむのは素敵なこと。これで心も満足よ。」と歌い、オットーネと互いの愛を確かめ合う。

[第三幕] 王宮の玉座の間
ネローネが、クラウディオの怒りを鎮めるためにアグリッピナの助けを求める。アグリッピナは彼の軽率な行動が計画を台無しにしてしまったと叱り、皇帝となるためには、ポッペアをあきらめるようにと言い聞かせる。パランテとナルチーソは、アグリッピナの野心とそれに加担した自分たちの罪を、クラウディオに打ち明ける。クラウディオは誰の言うことが本当なのか迷うが、二人の廷臣の言葉がポッペアの言葉と符合するということに気付き、ネローネへの譲位を改めて懇願するアグリッピナを、皇帝の権力を犯すものだと非難する。しかしアグリッピナは、これはすべてローマと皇帝位の安泰を願ってしたことだと、言葉巧みにクラウディオを丸め込み、逆にポッペアの言葉を信用したと彼を責め、形勢の挽回を図る。クラウディオはこのもつれた争いを解決し、平和な余生を送りたいと願う。ポッペア、ネローネ、オットーネが到着したとき、クラウディオは、ネローネがポッペアの部屋に隠れていたことを叱責、ポッペアとの結婚を命じ、オットーネを皇帝位の後継者と宣言する。しかしオットーネはポッペアを失うことは死にも等しいと、皇帝の位につくことを拒否する。そこでクラウディオは、オットーネにポッペアと、ネローネに皇帝位を与えることとし、アグリッピナのためにゲルマニアにコロニア・アグリッピナを建設することを宣言する。クラウディオの宣旨に納得した一同は「ラインの波よ。幸に揺れよ。岸辺で祝え、愛の神の喜びを。」と歌い、愛の成就とローマ帝国の安泰、繁栄をたたえ幕となる。


他の公演
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アグリッピーナ(皇后):パトリシア・バードン
ネローネ(アグリッピーナの息子):ジェイク・アルディッティ
ポッペア(ローマの貴婦人):ダニエル・ドゥ・ニース
オットーネ(ローマの将軍):フィリッポ・ミネッチャ
クラウディオ(皇帝):ミカ・カレス
パッランテ(廷臣):ダミアン・パス
ナルチーゾ(廷臣):トム・ヴァーニー
レスボ(皇帝の従者):クリストフ・ザイドル
管弦楽:バルタザール・ノイマン・アンサンブル
指揮:トーマス・ヘンゲルブロック
演出:ロバート・カーセン
収録:2016年3月22、29日/アン・デア・ウィーン劇場(オーストリア)
主要な登場人物のうち、皇帝役以外は、すべて女声またはカウンターテナー(オリジナルはネローネとナルチーゾはカストラート、オットーネはコントラルトだったらしい)が受け持っているため、声だけ聴いていると誰が誰だか分かりにくいがそこは映像。観ているうちに声の印象より容姿の方が強いものとなってくる。
そして何より、カーセンの演出がユニークで、映像も用いつつ、現代のオフィス、寝室、プールサイドなどを舞台にスーツ、ドレス、水着姿などの歌い手/モデル(?)たちが古代ローマの話を演じていく。
アグリッピーナ、ポッペアの女声(二人はなかなか素晴らしかった)に対し、カウンター・テナー組はやや分が悪かったとはいえ、総じて水準以上の歌唱で楽しめた。
感心したのは、ヘンゲルブロックが指揮するバルタザール・ノイマン・アンサンブル。生き生きとした素晴らしいアンサンブルだったが、残念だったのはほとんどオケが映らなかったこと。実際にステージを観た人の感想がすごい。
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クラウディオ(皇帝クラウディウス):ギュンター・フォン・カンネン(バス)
アグリッピナ(皇后):バーバラ・ダニエルス(ソプラノ)
ネローネ(その息子):デーヴィッド・キューブラー(テノール)
オットーネ(ローマの軍人):クラウディオ・ニコライ(バリトン)
ポッペア(オットーネの恋人):ジャニス・ホール(ソプラノ)
レスボ(クラウディオの従僕):カルロス・フェレール(バス)
パランテ(廷臣):ウルリヒ・ヒールシャー(バリトン)
ナルチーソ(廷臣):エーベルハルト・カッツ(バリトン) 他
ケルン歌劇場合唱団
ロンドン・バロック・プレイヤーズ
指揮:アルノルト・エストマン 1985年上演
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108

 投稿者:gazzetta  投稿日:2017年 3月 2日(木)07時10分0秒
返信・引用
  2017年5月27日(土)  午後1時30分~
Rossini
ロッシーニ(1792~1868)新聞
La Gazetta
☆ ロッシーニ/ガゼッタ(新聞) ☆La Gazzetta

原作:カルロ・ゴルドーニ「結婚競争」
台本:ジュゼッペ・バロンバ、トットーラ
作曲:ジョアキーノ・ロッシーニ、1816年9月
初演:1816年9月26日、ナポリ、フィオレンティーニ劇場
演奏時間:第1幕74分、第2幕69分
時・所:パリ

登場人物
リゼッタ・・・・・・・・・・・・・・・・ハスミク・トロシャン
ドン・ポンポーニオ・・・・・・・・・・・ニコラ・アライモ
フィリッポ・・・・・・・・・・・・・・・ヴィート・プリアンテ
アルベルト・・・・・・・・・・・・・・・マキシム・ミロノフ
マダム・ラ・ローゼ・・・・・・・・・・・ホセ・マリア・ロ・モナコ
アンセルモ・・・・・・・・・・・・・・・ダリオ・シクミリ
ドラリーチェ・・・・・・・・・・・・・・ラファエルラ・ルピナッチ
トラヴェルセン
指揮:マウリツィオ・バルバチーニ
演出:ダリオ・フォー
2015年8月ペーザロ・ロッシーニ劇場

解説
年頃の娘を持つ商人ドン・ポンポーニオが娘リゼッタの結婚相手を求める新聞広告を出したのがそもそもの始まりとなるドタバタ喜劇、結局リゼッタは以前から恋仲だった宿屋の主人アルベルトとめでたく結ばれるというお話。

あらすじ

第1幕
パリの美しい庭園。
理想の女性を捜し求めている青年アルベルトは、理想の女性が見つからないと嘆いている。
世界中を歩いたのに、好みの女性にはめぐり合えなかったというアルベルトは、マダム・ラ・ローゼと一緒に新聞を買って読み始める。そこに、お金持ちの商人>ドン・ポンポーニオがやってくる。
彼は、娘の結婚相手募集の広告を新聞に載せたところ。これで世界中から求婚者が続々やってくるに違いないと自慢気だ。アルベルトが、その広告に気づいて読み上げるが、あまりにも法外なその条件に、みんな呆れ果ててしまう。こんな広告を出したのはいったい誰だ?尋ねられた新聞売りは、ドン・ポンポーニオを指差す・・

宿屋の主人フィリッポは、ドン・ポンポーニオの娘リゼッタと実は密かに愛し合っており、
彼の出した新聞広告のことで悩んでいる。そこに、旅の商人アンセルモが娘のドラリーチェと一緒に到着する。リゼッタもやってきて、わがまま娘振りを発揮していると、アルベルトがやってきて、新聞広告の求婚者として名乗り出る。フィリッポは、居合わせたリゼッタを自分の妻だと言って紹介したので、アルベルトは、折りよく来合わせたドラリーチェを新聞広告の女性だと思い込んでしまう。彼から新聞広告のことを聞かされたドラリーチェは傷つくが、アルベルトは本気でドラリーチェを好きになる。アルベルトは、ドン・ポンポーニオにお嬢さんをください」と申し入れるが、ドン・ポンポーニオは、アルベルトと言う名前が平凡すぎると言って気に入らない様子。
が、アルベルトは、「アレクサンドロス大王の父、マケドニアのフィリッポの末裔だ」とでっち上げたので、ドン・ポンポーニオは、娘のリゼッタに、「フィリッポという男と結婚させる」と告げ、違いした彼女は大喜び。しかし、父が指差す相手はフィリッポではなくアルベルト。アルベルトも、結婚相手がドラリーチェではないのでがっかりし、リゼッタはフィリッポの妻では?と言い出しドン・ポンポーニオは怒り出す。

問い詰められたフィリッポは、「新聞広告に腹を点てたリゼッタに仕返しをしたいと頼まれたので、夫のふりをしただけ」と弁解し、金持ちのクエーカー教徒が求婚にやってくるからと、ドン・ポンポーニオをだます。リゼットも口裏を合わせるのだが、フィリッポが結婚していると聞かされて気絶する。ドン・ポンポーニオは、娘が死んだと勘違いして嘆き悲しむ。
が、すぐに起き上がったリゼッタと言い争いになる。そこに、クエーカー教徒に返送したフィリッポがやってきて、求婚しにきたとドン・ポンポーニオに告げる。彼が気に入ったドン・ポンポーニオだが、娘のリゼッタは、半信半疑。フィリッポは芝居が台無しだと呟く。

第2幕
トラヴェルセンが、「お嬢さんと結婚したい」と申し出たので、アンセルモは大喜びする。
しかし、肝心のドラリーチェは浮かぬ顔をしている・・・彼女も、アルベルトに心惹かれているのだ。アルベルトも、ドラリーチェがトラヴェルセンと結婚してしまうのではないかと気が気でない様子。庭では、フィリッポが何とかリゼッタと仲直りをしようとしているが、リゼッタは意地を張っている。
が、フィリッポが「自殺する」と言い出すので、仲直りをする。恋に苦しむアルベルトは、
ドラリーチェが彼を愛しているとフィリッポから聞き、気を取り直す。
フィリッポは、「客のクエーカー教徒が帰ってしまったのはあなたのせいだ」と難癖をつけて、ドン・ポンポーニオに決闘を申し込み、アルベルトも、「お嬢さんをくれると言ったのに、結婚させてくれなかった」と言って、ドン・ポンポーニオに決闘を申し込む。が、3人とも、本気で決闘する気はないものだから、あれこれ言い訳を考えては決闘するのを引き伸ばし、結局、決闘しないで和解してしまう。

ドラリーチェは、「舞踏会を開いて、隙を見て駆け落ちしましょう」とリゼッタを誘う。
ドン・ポンポーニオが出発すると言ってやってきたので、慌てたリゼットは気絶する振りをする。息を吹き返したリゼットは、「自分で決めた人と結婚したい」と父に頼むが、ドン・ポンポーニオは聞き入れない。フィリッポは、ドン・ポンポーニオに、「トルコ人に返送して舞踏会に行けば、お嬢さんを捕まえることができる」と耳打ちする。
ドン・ポンポーニオは娘を見つけられない。トラヴェルセンとアンセルモもやってくるが、
マダム・ラ・ローゼに「娘さんたちはもう結婚してしまいましたよ」と言われてびっくり仰天。しかし、二組の恋人たちが許しを請うので父親たちも許すほかなく彼らの結婚を認めることにする。


「La Gazetta」 新聞
ロッシーニが活躍した19世紀。新聞は人々が情報を手に入れるための最優先のメディアでした。このオペラはそんな時代を反映して娘に理想の夫をみつけたい父親が新聞にお婿さん募集の広告をだすところから始まるコメディです。父の心配をよそに、ちゃっかり恋人のいる娘。そして理想の女性をさがしている青年などさまざまな人物が登場し、それぞれの思惑が入り乱れて・・・・・。
生まれ故郷のペーザロで行われたロッシーニオペラ・フェスティバルの公演から軽妙な音楽に彩られた楽しい舞台をご覧ください。


 

opera106

 投稿者:figaro  投稿日:2017年 2月11日(土)14時22分24秒
返信・引用
  Rossini
ロッシーニ(1792~1868)セビリャの理髪師
Il Barbiere di Siviglia

[原作]:ボーマルシェの同名の喜劇(1775年作)
[台本]:チェーザレ・ステルビーニ
[作曲]:ジョアッキーノ・ロッシーニ(1816年)
[初演]:1816年2月20日 アルジェンティーナ歌劇場(ローマ)
[演奏時間]:序曲7分、第一幕90分、第二幕63分

登場人物
フィガロ(理髪師)・・・・・・・・・・・ビョルン・ビルガー(バリトン)
ロジーナ(バルトロのめい)・・・・・・・ダニエル・ドゥ・ニース(ソプラノ)
アルマヴィーヴァ伯爵・・・・・・・・・ティラー・スティトン(テノール)
バルトロ(医師・ロジーナの後見人)・・・アレッサンドロ・コルベルリ(バリトン)
ドン・バジリオ(ロジーナの音楽教師)・・クリストロファス・スタンボグリス(バス)
ベルタ(バルトロ家の小間使い)・・・・・ジャニス・ケリー(メゾ・ソプラノ)
フィオレッロ・・・・・・・・・・・・・(テノール)
アンブロージョ・・・・・・・・・・・・(バス)
指揮:エンリケ・マッツォーラ
演出:アナベル・アーデン
2016年6月17日、21日 グラインドボーン音楽祭歌劇場

解説
自分の過去の曲から良いものを徹底的に利用し、さらに新しい名曲を加えたロッシーニのオペラ・
プッファの集大成的名曲。

序曲 ホ長調
第一幕
〔第一場〕バルトロ家の前の路上
夜明けも近い薄暗がり、楽師を連れてアルマヴィーヴァ伯爵が現われ、ロジーナヘセレナードを歌うが
応えはなく、楽師たちに多額の金貨をやると大騒ぎで礼を言うので懸命に静めて追い帰す。
遠くからフィガロが陽気にやってくる、アリア<私は町の何でも屋 Largo al factotum della citta'>
伯爵はフィガロを呼びとめてロジーナ攻略作戦に乗ってくれともちかける。その時露台に彼女が現われ
一葉の紙切れを落とす。後から来た後見人のバルトロがそれを怪しみ下に取りに行くが紙切れは伯爵が
拾ってもうない。バルトロはカンカンに怒り露台をしめ外出する。彼女の手紙には「後見人が煩わしく
外出も儘なりません。お名前と御身分をお教え下さい」とあった。
伯爵は歌に託して<私の名が知りたければ Se il mio nome saper voi bramate>と歌う。彼女はそれに
応えようとするが誰か来て戸をばたんとしめ彼女は奥に連れ戻される。伯爵はフィガロに礼をはずむぞ
と恋の手助けを頼む、二重唱<金を見れば知恵がわく All'idea di quel metallo>

〔第二場〕バルトロ家のサロン
ロジーナがリンドー口への愛を高らかに歌う、アリア<今の歌声 Una voce poco fa> バルトロが戻って
来たところに音楽教師のバジリオが現われ、アルマヴィーヴァ伯爵がロジーナを目当てにこの町にやって
来ているので、醜聞をまいて町から追い出しましょうと歌う、アリア<陰口はそよ風のように La calunnia e'
un venticello> しかしバルトロはすぐ彼女と結婚するのが最上の策だと言いながら二人で立ち去る。
フィガロが現われロジーナに、ある若者が君に夢中だと告げる。顔を赤らめながらもロジーナは喜ぷ、
二重唱<それじゃ私ね Dunque io son> 彼に手紙を書くようフィガロが勧めると、彼女はさんざん恥ずかし
そうな素振りをしながら、実は手紙はもう書いてあるのと差し出す。フィガロは近頃の娘に教える事は
ないと、その手紙をもらって帰る。そこに現われたバルトロはロジーナの指のインクを見咎め、彼女が
手紙を書いた事を見破るが、彼女が上手な言い逃れをするので怒り出す、アリア<わしのような先生には
A un dottore della mia sorte>を歌い、小娘の言訳なんか聞かぬぞと嚇す。扉を強く叩く音がし、
士官姿の伯爵が酩酊の振りをして入って来て、ここを今夜の宿舎とすると命令書を見せる。バルトロは
この家の宿舎割当免除証を出して見せるが、伯爵は乱暴にもそれを破って捨て、そこに現われたロジーナに
そっと手紙を渡す。彼が彼女の側に寄るのを見てバルトロは怒り出し伯爵も戦争ごっこをやるかと暴れ出す。
フィガロが仲裁にやってくるが時遅くこの家の喧躁に巡邏兵がやって来る。皆は隊長を前に罪のなすり合い
を演じ、隊長は結論として悪いのはこの士官と言って連行しようとすると伯爵は隊長に自分の身分の印を
そっと見せる。驚いた巡邏兵一同は直立不動の姿勢をとるので、バルトロは仰天する。やっと気を取り
戻して皆は再び巡邏兵に罪のなすり合いを演じ大騒動となる。

第二幕
〔第一場〕バルトロ家の書斎
バジリオの代理と称して伯爵が音楽教師に変装して現われる。疑うバルトロに伯爵は今朝ロジーナから
受け取った手紙を見せて、これを伯爵の官廷で手に入れたと言って渡すのでバルトロは彼を信用する。
歌の稽古が始まりロジーナが歌う、アリア<私の心に愛が芽ばえて Contro un cor che accende amore>
フィガロが髭をあたりにやって来て、奥に道具を取りに行く。フィガロはつまずいた振りをしてわざと
皿をガチャンと落とし、バルトロが慌てている隙に露台の鍵を抜き取る。伯爵もどさくさに紛れてロジーナに
愛を打ち明ける。そこに突然バジリオが現われ一同驚く、五重唱<ドン・バジリオ、大変だ
Don Basillio, cosa veggio> 伯爵は素早く財布を彼につかませ、うまく追い返す。フィガロが髭をそって
いる間に二人は今夜駈け落ちをする約束をするが、二人の様子を訝ったバルトロに変装を見破られ伯爵は
逃げ出す。一時して、またバジリオがやって来て、あのにせ音楽教師は実は伯爵ですとバルトロに告げる。
彼は財布に付いていた家紋から判ったのである。バルトロはあわてて今夜中に結婚式をあげてしまおうと、
バジリオに公証人を呼びにやる。そしてロジーナに、先に手に入れた手紙を種にお前の恋人は不実者で、
お前を口説いて伯爵の愛妾にするつもりだったと説明し、それを信じた彼女はバルトロとの結婚を承諾する。

-----間奏曲・・・・嵐の音楽-----

〔第二場〕
真夜中フィガロと伯爵が忍んで来る。ロジーナが私を伯爵に売るつもりの人となど一緒に逃げられません
となじると、伯爵は身分を明かし伯爵としてではなく、私個人を愛してくれるかどうかを知りたかったのだ、
と打ち明けるので、彼女の誤解も解ける。そこにバルトロが皆を連れて入って来る。伯爵はバルトロに
彼女の財産は総て与えるから、彼女を妻にいただきたいと言うので、初めから財産目当ての彼はしぶしぶ
ながら承知し、すべて丸く収まって幕となる。
 

opera105

 投稿者:lulu  投稿日:2017年 2月 9日(木)17時50分46秒
返信・引用
  2017年3月25日(土) 午後1時30分~
Alban Berg
アルバン・ベルグ(1885~1935)/ルル
LuLu

歌劇 「ルル」Lulu <ベルク:1885年~1935年>Alban Berg
初演 1937年 6月 2日、市立劇場(チューリッヒ)
設定 1900年頃、ドイツのある都市・パリ・ロンドン

登場人物 ルル…魔性の女(S)
ゲシュヴィッツ伯爵令嬢…ルルの同性愛の恋人(MS)
ゴル博士…衛生顧問官、ルルの最初の夫(台詞のみ)
ヴァルター…画家、ルルの2番目の夫(T)
シェーン博士…新聞の編集長、ルルの3番目の夫(Br)
アルヴァ…作曲家、シェーン博士の息子(B)
ロドリーゴ…力業師(B)
シゴルヒ…老人(B)
公爵…ルル結婚してアフリカに渡ることを願っている(T)
ジャック…ルルを買い、彼女を殺害する(Br)
侯爵…売春斡旋業者(T)

あらすじ
プロローグ
猛獣使いが登場し、口上で様々な動物の危険性を述べる。中でも、もっとも危険な動物の蛇として紹介されるのは、ピエロの衣装を着けたルルである。彼女こそ多くの人を誘惑し、災いをもたらす猛獣である。その名前が告げられていよいよルルの物語が始まる。

第1幕
第1場 画家のアトリエ
画家ヴァルターのアトリエで、ピエロの衣装を着けたルルは肖像画のモデルになっている。そこに若い頃からルルのパトロンとなっているシェーン博士とその息子で作曲家のアルヴァが来る。ヴァルターは、シェーン博士父子が帰りルルと二人きりになると彼女に言い寄る。抱き合っているところにルルの夫ゴル博士が現れ、二人の様子を見て心臓発作を起こしてあっけなく死んでしまう。しかし、ルルは遺産のことしか頭にないので、夫が死んでも取り乱しもしない

第2場 ルルの肖像画のある優雅なサロン
画家ヴァルターと再婚して優雅な生活を送るルルは、シェーン博士から自分は婚約したとの手紙を受け取る。ルルは、シェーン博士と知り合って以来ずっと彼との結婚を熱望していた。そこにルルの父親を名乗る老人シゴルヒが金の無心に来る。かつてはこの老人も孤児だったルルの面倒を見ながら彼女を情婦にしていたのだ。
そこにシェーン博士が来て、自分は結婚を控えているので、もう訪ねて来ないようにとルルに申し渡す。シェーン博士は前の夫人が亡くなったときにルルから結婚を懇願されたが断り、適当な男を夫としてあてがってはそれとなく援助を続けていたのだった。ルルの夫となった画家ヴァルターが現れてシェーン博士に来訪の理由を訊ねる。シェーン博士はルルを下がらせ、ヴァルターにこれまでのルルの衝撃的な生い立ちと男関係を洗いざらい話す。壮絶な内容に絶望したヴァルターは自室にこもって自殺してしまう。ルルは再びシェーン博士と結婚するチャンスが巡ってきたと無邪気に喜ぶ。

第3場 劇場の衣装部屋
ルルはシェーン博士の息子アルヴァの作曲したバレエを踊ることになっている。楽屋にはルルと結婚してアフリカに渡ることを願っている公爵が日参している。
一方、ルルの虜になっているアルヴァは彼女をモデルにしたオペラを書こうと思い立つ。しかし、舞台に立ったルルは、愛するシェーン博士が婚約者といるのを見て、ヒステリーを起こし倒れてしまう。ルルは驚いて楽屋を訪ねたシェーン博士を脅して婚約解消の手紙を書かせてしまう。

第2幕
第1場 シェーン博士の部屋
ゲシュヴィッツ伯爵令嬢がルルを訪れる。彼女はルルをレズビアンの相手にと狙っている。その日はシェーン博士が外出するはずの日なので、ルルを狙う男たちも三々五々やって来る。シゴルヒ老人や力業師ロドリーゴたちは勝手に酒宴を開いてルルのうわさ話に花を咲かせる。召使いがシェーン博士の在宅を告げるので、皆、慌てて物陰に隠れる。シェーン博士の息子アルヴァが来てルルに愛の告白をするが、シェーン博士はそれを二階から見てしまう。そのうちシェーン博士は隠れている男たちにも気付き、ルルに銃を渡して自殺するよう迫る。驚いた飛び出した男たちにシェーン博士が気を取られた隙に、ルルはシェーン博士に5発の銃弾を浴びせる。シェーン博士は自分の二の舞を踏まぬようにと息子のアルヴァに忠告して息絶える。

第2場 シェーン博士の部屋
ルルの仲間たちが脱獄の計画を立てる。ゲシュヴィッツ伯爵令嬢は身代わりとなってルルを脱獄させる。力業師のロドリーゴはやつれ果てたルルを見て、こんな女には用はないと言って去る。すると、ルルはしてやったりとばかりに突然元気を取り戻し、アルヴァとともに逃げる準備をする。

第3幕
第1場 パリのサロン
パリに逃亡したルルとアルヴァは株取引の友人たちを招いてパーティーを開いている。密告をちらつかせてルルから金をゆすっている侯爵は、彼女の金がつきたことを知りカイロの娼窟に出稼ぎに行けと脅す。同様に力業師ロドリーゴもルルをゆすっている。ゲシュヴィッツ伯爵令嬢は、危険も省みずルルを救ったにも関わらず彼女の態度が冷たいことを詰問する。
そこに皆の持ち株が暴落したとの知らせが入る。呆然とするルルにシゴルヒ老人が金の無心をするので、彼女はロドリーゴを殺してくれたら何とかしようと言う。ロドリーゴに抜け駆けされるのを恐れる侯爵は先にサロンを抜け出す。密告されて間もなく警察が来ることを察したルルは、ゲシュヴィッツ伯爵令嬢を説き伏せてロドリーゴの相手をさせておき、その間に下僕と服を取り替えて逃亡する。

第2場 ロンドンの屋根裏部屋
シゴルヒ老人を伴ってロンドンに流れ着いたルルとアルヴァは一文無しになってしまった。ついにルルは街娼に立つことになった。客を取るルルのもとにゲシュヴィッツ伯爵令嬢が彼女の肖像画を届けに来る。今は見る影もなく落ちぶれてやつれ果てたルルは、逃げるように再び街頭に立つ。
黒人の客が来て前金を置かずにルルを抱こうとするのでアルヴァが襲いかかるが、逆に殴り殺されてしまう。しかし、ルルはまた別な客を連れて来る。
失望したゲシュヴィッツ伯爵令嬢はドイツに戻って法律を学ぶ決心をする。そこにルルの悲鳴が聞こえる。知らずに引き入れた今度の客はロンドンの切り裂き魔ジャックだったのだ。ジャックはゲシュヴィッツ伯爵令嬢も刺し殺して立ち去る。ルルを呼ぶゲシュヴィッツ伯爵令嬢の声が空しく響き、ついに彼女も事切れる。

あらすじ
1幕
画家がルルの肖像画を描いている。彼女の愛人のシェーン博士が様子を見に来る。博士が去ると、我慢ができなくなった画家はルルを追いかける。そこへルルの夫のゴル博士がやってきて嫉妬の怒りのあまり心臓発作を起こして死んでしまう。急に売れ出した画家はルルと結婚している。シェーン博士が結婚するという通知が入ってくる。ルルの父親と自称するシゴルヒが金をゆすりにやってくる。画家はシェーン博士からルルの過去を聞かされてショックで自殺をする。シェーン博士の息子アルヴァの作曲した音楽でダンスをしているルルは客席にシェーン博士とその婚約者がいるのを見て、失神して楽屋に運ばれてくる。ルルはシェーン博士に婚約破棄の手紙を書かせる。

2幕
本命のシェーン博士と結婚したルルだったが、その魔性は消えていない。彼女は老若男女を受け入れているのである。アルヴァまでルルに愛を告白する。シェーン博士をピストルで自殺するようにと迫るが、逆に銃で撃たれてしまう。
ルルは逮捕されるが、レズビアンのフェミニスト、ゲシュヴィッツ伯爵令嬢が身代わりになったおかげで脱獄に成功する。

3幕
パリに逃亡したルルはアルヴァと株で儲けて豪華な宴を開いている。しかし、脱走犯である彼女はサーカスへ売ろうとしているロドリーゴや娼館へ売ろうとしている侯爵に脅迫されている。そこへ株が暴落したという知らせが入るので、大騒ぎになっている間に逃げる。
街娼になったルルはロンドンでアルヴァとシゴルヒと一緒に暮している。ゲシュヴィッツ伯爵令嬢もルルの肖像画をもってやってくる。
アルヴァはルルの客の黒人に殺される。ルルもまた別の客に殺される。かの有名な娼婦連続殺人犯である切裂きジャックである。ジャックは大学で女性の権利のために戦う決意をしていた伯爵令嬢をも殺す。
 

opera104

 投稿者:orphee  投稿日:2017年 2月 8日(水)10時53分56秒
返信・引用
  2017年2月25日(土)  午後1時30分~
Offennbach
オッフェンバック(1792~1868)天国と地獄
Orphee aux enfers

[原作]:カール・クレーマーが書いたギリシャ神話
『オルフェオとエウリディース』のパロディ
[台本]:エクトル・クレーミュ及びアレヴィ
[作曲]:ジャック・オッフェンバック 1858年
[初演]:1858年10月21日、ブーフ・パリジャン劇場(パリ)
[演奏時間]:第一幕 69分、第二幕 51分

登場人物

ユリディス(オルフェの妻)・・・・・・・・・ポーリーヌ・クルタン
オルフェ(音楽院長)・・・・・・・・・・・・ジュリアン・ベール
プリュトン(地獄の王)/アリステ(羊飼い)・マティアス・ヴィダール
ジュピテール(神々の王)・・・・・・・・・・ヴァンサン・テリオー
世論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・マーリー・ゴートロ
ジョン・スティクス(プリュトンの下男)・・・ジェローム・ビリー
メルキュール・・・・・・・・・・・・・・・・ポール・クレマシー
キュピドン(愛の神)・・・・・・・・・・・・エマニュエル・ド・ネグリ
ヴェニュス(美の女神)・・・・・・・・・・・マリー・カリニース
ディアス(狩りの女神)・・・・・・・・・・・スーラ・パラッディス
ミネルブ(知恵の女神)・・・・・・・・・・・エステル・カイケ
ジュノン(ジュピテールの妻)・・・・・・・・サヴィーヌ・レヴォー・ダロンヌ
合唱:エクサン・プロヴァンス音楽祭合唱団
管弦楽:カメラータ・ザルツブルグ
指揮:アラン・アルティノグリュ
演出:イヴ・ボーヌスヌ、
エクサン・プロヴァンス音楽祭、大司教舘劇場(2009年7月)

解説
我が国でも浅草オペラ時代から《天国と地獄》の訳で親しまれてきたオペレッタの傑作。

第一幕
〔第1場〕テーバイ郊外の野原
世論が現われ、ギリシャ悲劇の合唱の代役よりもさらに一歩進んで自らの意見をこのドラマに反映させると言って退場する。ユリディスがもう夫に飽きてしまった、今は愛する隣の羊飼のために花を摘みましょうと歌う。その時オルフェがニンフ・クローエに寄せるヴァイオリンの音が聞こえてくる。ばったり出会った二人は共に他の人を愛している事をあけすけに言い、夫婦喧嘩の二重唱となる。妻が隣の羊飼を愛していると聞いたオルフェは、このヴァイオリンの音も愛さないのかと言って狂ったように弾き出すので、彼女はもうたくさんと癇癪を起こす。オルフェは向うの麦畑に何か仕掛けてあるぞと意味ありげな事を言って立ち去り、彼女もあそこは私と羊飼が愛の時を過ごした所、彼に用心するように言わなくてはと言い立ち去る。黄泉の国の王プリュトンが化けた羊飼いアリステが現われ、夢の中でオルフェに麦畑に毒蛇を仕掛けるように暗示しておいたがうまく引っかかった、彼女が噛まれて死ねば自分の国に連れて帰れると楽しそうにアリアを歌う。そこにユリディスが現われ、麦畑に入ってはだめよ、うちの主人が何か仕掛けたのだからと叫ぶが彼は、君のためならどんな危険もものともしないと畑に入る。追ってきた彼女は蛇に噛まれて死に、喜んだプリュトンに抱かれて地下へと降りていく。その場に現われたオルフェは妻の死を知って喜び、さっそくニンフたちの所に行こうとするが、そこに世論が現われ、後世の人のためにも、あなたは妻を黄泉の国から連れ戻さねばならないと命じ、しぶしぶ彼はそれに従う。

〔第2場〕天上のオリンポスの山
雲の上で神々が眠りこけている。キュピドン、続いてヴェニュスが現われ、全ての幸せは私たちが教えた事から始まると歌い寝てしまう。その時角笛が聞こえ、ジュピテールが目を覚まし、皆を起こす。現われたディアヌは私の恋人アクテオンがいなくなってしまったと訴えてくる、アリア<ディアヌが野原に降りてみると Quand Diane descend dans la plaine>。悲しいにしては愉快そうにトララララと歌う彼女にジュピテールは、処女のシンボルであるお前に情事にふけられては神々の体面もあるので、彼を鹿に変えてしまったと説教をする。するとヴェニュスが、でもまた一人の女が地上から消えて、その誘拐犯はジュピテールとかの噂とやり返すので、大神はとんでもない濡衣だ、その事件の調査にメルキュールをすでに派遣してあると答える。そこに彼が帰って来て犯人はプリュトンと報告し、今お目通りに来るでしょうと言い添える。やって来たプリュトンを大神が詰間し始めると、皆は大神だって相当な事をやっているのにと順番に音頭を取って歌い出す、ロンド<お堅いアルクメーヌを惑わすために Pour seduireAlcmene la fiere>。そこに世論に連れられてオルフェが現われ、仕方なさそうにグルックの<オルフェオ>のアリアをもじって、妻を返してくれと歌い出す。大神がでは地獄に行ってみようと言うと、皆も連れて行ってと甘え、神々全員が地獄に行く事になる。

第二幕
〔第1場〕地獄のプリュトンの部屋
プリュトンに囲われたユリディスは退屈しきっている。そこにプリュトンの下男ジョン・スティクスが現われて、<私がベオティの王だった頃 Quand j’etais roi de Beotie> を歌い彼女を口説こうとするが、彼女は逃げ去り、彼も人の来る気配に立ち去る。やって来た大神は、地獄で個室を持つなんて酒落ている、自分もオリンポスに個室を作るかなどと軽口をたたき、ユリディスはどこかと言うが、プリュトンは私が誘惑したのではないと言い張り、大神を宴会の方に連れていく。人の気配に戻ってきたユリディスは誰もいないのでがっかりするが、そこに蝿に化けたジュピテールが飛んで来てブーン、ブーンと彼女を誘惑し、愉快な二重唱となる。大神が自らの身分を明かし、お前をオリンポスに連れて行きたいのだと言うと、彼女はすぐその気になり、宴会にバッカスの巫女の姿をして出席し、後に二人で逃げる事にする。

〔第2場〕地獄の大宴会場
飲めや歌えの大騒ぎ、大神はバッカスの巫女の姿で現われたユリディスと踊り、様子を窺って逃げようとするが、そこにプリュトンが立ちふさがり、そうはうまくいきませんよ、オルフェが妻を求めてやって来たと言う。ヴァイオリンの音が聞こえ、世論に連れられてオルフェがやって来る。大神は仕方なく、妻を地上に連れ戻すまで絶対に振り向いてはならぬという条件で彼女を返す事にする。世論は頑張って我慢するのよとオルフェを励まし、彼は妻を従え地上に戻り出す。なかなか振り返らない彼に腹を立てた大神は雷光を放ち、彼を驚かせて振り返らせる。プリュトンかこれで彼女は黄泉の国に残ると言うと、大神は、そうはゆかぬ彼女をバッカスの巫女とすると宣言し、彼女は酒の神の女司祭となる事で幕となる。
 

opera103

 投稿者:alfio  投稿日:2016年12月28日(水)10時13分10秒
返信・引用
  オペラを楽しむ会月例会(第103回)
2017年1月28日(土) 午後1時30分~
MASCAGNI
マスカンニ(1863~1945)<カヴァレリア・ルスティカーナ>
Cavalleria Rusticana

LEONCAVALLO
レオンカヴァルロ(1857~1919)<道化師>
I Pagliacci

全一幕 マスカンニ(1863~1945)<カヴァレリア・ルスティカーナ>
■原作:ジヨヴァンニ・ヴェルガの同名の小説(1880年)とそれに基づく同名の戯曲
■台本:タルジョー二・トッツェッティ、グィード・メナーシ
■作曲:ピエトロ・マスカーニ1888年~90年
■初演:1890年5月17日、コンスタンツィ劇場(ローマ)
■演奏時間:全一幕70分
■時・所:1890年頃の復活祭の日。シチリア島の村

登場人物・演奏者

サントゥッツァ(トゥリッドを思う村娘)・・・・・・・・・・・・・・リュドミラ・モナスティルスカ(メゾ・ソプラノ)
トゥリッドゥ(村の伊達男)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヨナス・カウフマン(テノール)
ルチア(トゥリッドゥの母親)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ステファニア・トツィスカ(アルト)
アルフィオ(馬車屋)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アンブロジョ・マエストリ(バリトン)
ローラ(アルフィの妻、昔のトゥリツドゥの恋人)・・・・・アンナリザ・ストロッパ(ソプラノ)
ドレスデン国立歌劇場合唱団
ザルツブルグ・バッハ合唱団
ザルツブルグ音楽祭および劇場児童合唱団
ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
指揮:クリスティアン・ティーレマン
演出:フィリップ・シュテルツル
収録:2015年3月26・28日4月6日 ザルツブルグ祝祭大劇場(オーストリア)
解説
この曲は、リコルディに対抗して台頭してきたソンツォーニョ社の一幕物オペラ懸賞募集に一等で当選した曲で、このオペラが初演された翌日から弱冠二十六歳のマスカーニは世界的に有名な作曲家となり将来を期待されたが、彼はこれ以後この曲を凌ぐ作品が作れなかった。<カヴァレリア・ルスティカーナ>とは直訳すれぱ「田舎の騎士道」とでもいう意味で、マフィァの産地シチリアの話で、これは実話に基づいてヴェルガがドラマに仕立て上げたものと言われている。現在でもシチリアではこの種の話は実際に起きていて絶えてはいない。
マスカーニはリヴォルノの生まれで、けっしてシチリァ人でも南部人でもないが、彼の祖先には南部人の血があったらしい。この曲はまさにイタリア南部の香りがむんむんとしていて、スカラ座の上演でさえもシチリア人に言わせると、ミラノの連中にシチリアの雰囲気が出るものかと言うくらい地方色の強い音楽である。
アリアは全部有名であるが、特に<ママも知る通り>が独立してよく歌われる。曲全体に痺れるような強烈さがあり、それと対照的にドラマの中間にある静かな間奏曲は、昼食と午睡の時間に一瞬空白となる南イタリアの風景を如実に描いている。このオペラにはどこを取っても南イタリアのあの独特なムードを感じさせない所はない。
とにかく情熱の固まりのような曲である。
マスカーニはこれ以後以外とこの種の南イタリアを舞台としたヴェリズモ・オペラを書かず、唯一<カヴァレリア>に似た設定を持ったオペラは<シルヴァーノ>のみで、もちろん<カヴァレリア>の足元にも及ばないが、それなりに南イタリアの雰囲気を持った劇的な曲である。
シチリアの村の教会の前の広場
〔前奏曲とシチリアーナ〕
幕があがる前に演奏される前奏曲は、オペラの中に現れる6つのモティーフや主要旋律を素材として接続曲ふうに構成したもので、復活祭の朝の平和な情景を思わせるアンダンテ・ソステヌートのしずかな音楽ではじまり、テンポと表情を変えながら次第にドラマティックな高揚を盛りあげていく。そして、そのちょうど中ほどに、幕のうしろで歌われるトゥリッドゥの「シチリアーナ」が挾まれる。トゥリッドゥが恋人ローラに対する愛の思いを歌うこの美しいソロが「シチリアーナ」と名付けられているのは6/8拍子のシチリア舞曲のりズムで書かれていること、そしてその歌詞に、標準イタリア語とは異ったシチリアの方言を用いて、地方色を明らかにしていること、の二つの理由による。

〔開幕の合唱〕
舞台裏からきこえてくる教会の鐘の音につづいて、管弦楽の奏する明るいよろこびにみちた前奏とともに幕があがる。舞台は、シチリアのある村の広場。右手に教会の大きな入口がみえ、左手にはマンマ・ルチアの居酒屋がある。復活祭の日ののどかな朝である。前奏がさまざまに表情を変えてかなり長くつづく間に、はじめは人影もなかった広場に次第に村人たちが集まってくる。やがて、舞台裏から、美しい春の訪れをよろこぷ女声合唱がきこえ、次いで合唱は力強い男声のユニゾンに受けつがれる。四方から多ぜいの人たちが広場に現れ、こんどは舞台中央で、再びさきほどと同じ女声合唱と男声合唱をくりかえすが、そのあと両者は3/4拍子と4/4拍子、6/4拍子と6/8拍子という異なったりズムのまま同時に重なり合って、豊かなひぴきをつくり出す。そして村人たちは、復活祭のミサに参列するため教会の中こ消えていく。

〔シェーナとアルフィオの歌〕
広場には再び人影も見えなくなる。音楽はこれまでの明るいイ長調から、嬰へ短調、ラルゴに変わり、低弦に性格的なモティーフがくりかえされて、緊迫したムードをつくり出す。サントゥッツァが登場、ルチアの家の方へ歩いていく。ちょうど戸ロヘ出て来たマンマ・ルチアに、サントゥッツァは「トゥリッドゥはどこへいったのかしら?」とたずねる。ルチアはなぜか素っ気ない態度で応待しているが、サントゥッツァが涙をこぽしながらあまりに必死な様子でたずねるので、とうとう「うちの息子は、フランコフォンテヘお酒を仕入れにいったんだよ」と答える。だが、サントゥッツァは本気にしない。だれかが、昨日の真夜中、この村で彼のすがたを見かけた、といっていたからだ。「そんなに疑うなら・家の中を探してみたらどう?」というルチアの言葉に、サントゥッツァは叫ぶ「いいえ、だめ! あなたの家には入れないわ! あたしは破門された身ですから!」。彼女はすでにトゥリッドゥと抜きさしならぬ関係をつづけていたのだった。
そのとき、音楽はとつぜん軽快なアレグレットに変わり、舞台裏から鞭の音とも車につけた鈴のひびきがきこえてくる。管弦楽が次第にクレッシェンドで盛り上がるとともに、たくましい馬車屋アルフィオが村の男たち(男声合唱)をしたがえて登場、威勢のいいアリア「馬は勇む Il cavallo scalpita」を歌う。この歌はほぽ2節から成り、第1節では気楽な馬車屋稼業のたのしさを調歌し、第2節では美しい女房ローラの自慢が歌われる。

〔シェーナと祈り〕
歌い終わって、村の人たちがあるものは教会へ、他は思い思いの方向へ去っていったあと、アルフィオはルチアの居酒屋へ立ち寄って、酒を所望する。ルチアとの立ち話の中で、ふとトゥリッドゥの名が出たとき、アルフィオが「あいつ、今朝もおれの家のそばをうろついてたぜ」と言ったのを、サントゥッツァは聞きのがさなかった。「何だって?」と勢いこんで聞き返すルチアを、そばから「だまってて!」とサントゥッツァが意味ありげに制止する。ちようどそのとき、教会の中から清澄なオルガンの音がきこえ、つづいてミサに参列している人々の敬けんな祈りの合唱(無伴奏の混声6部合唱)が流れてくる。
教会の外に集まった村人たちも、また管弦楽とともに混声6部合唱で心から主イエス・キリストヘの祈りを捧げる。次いで、サントゥッツァの歌い出す美しいソロに、教会の内と外との二つの合唱が加わった全員の壮麗なアンサンブルが展開される。この大合唱が終わると、管弦楽の後奏とともに人々はみな教会の中に入っていき、舞台にはサントゥッツァとルチアの2人だけが残る。ルチアは早速、さっきアルフィオがトゥリッドゥのうわさを口にしたとき、サントゥッツァがあわてて彼女を制止したわけをたずねる。

〔ロマンツァとシェーナ〕
ここでサントゥッツァはルチアに対して、涙ながらに、これまでのトゥリッドゥとのいきさつを告白する。以前、トゥリッドゥはローラと深い恋仲でありながら、除隊して帰郷してみたら、すでにアルフィオの女房になってしまっていた彼女のことを忘れようと、私を心から愛してくれた。あたしも、あのひとにありったけの愛を捧げたけれど、それをやっかんだローラは、亭主持ちの身でありながら、トゥリッドゥを誘惑し、あのひとをあたしから奪いとってしまったんですと、彼女は劇的なロマンツァ「Voi lo sapete ママも知るとおり」を歌う。ルチアはこのサントゥッツァの訴えをはじめは不気嫌そうに聴いていたが、サノトゥッツァ心をこめた言葉にようやく動かされたらしく、聖母さまにお祈りするために教会へ入っていく。
〔二重唱〕
管弦楽のあわただしい走句とともに、トゥリッドゥが急ぎ足で、初めて舞台にすがたを現す。そこで彼の帰りを待っていたサントゥッツァに気がついたトゥリッドゥは思わず足を止める。2人の問にトゲを含んだやりとりが交わされる。「どこへ行ってたの?」「フランコフォンテさ」「うそよ! 今朝がた、ローラの家のところであんたを見かけた人がいるのよ!」「さてはお前、おれをつけていたな!」「いいえ、アルフィオがそういったのよ!」2人のはげしい対話は次第に緊迫の度を加え、とうとうローラを呪いながらトゥリッドゥにすがりついて泣くサントゥッツァに、彼は情熱をこめた口調で叫ぶ。「やめてくれ、サントゥッツァ、おれはお前のそんなくだらない嫉妬の奴隷になるのはごめんだ!」。管弦楽ははげしく6連音で和音をたたきつけながら、その歌声をユニゾンで彩る。このトゥリッドゥの激昂した言葉に対して、それでもなお彼を深く愛しているサントゥッツァは涙ながらにやさしく嘆願をくりかえす。そのとき、舞台裏から、6/8拍子のなだらかなリズムにのって、ローラの魅力的な歌声がきこえてくる「美しいグラジオラスの花よ Fior di giaggiolo」。この官能的な魅惑をたたえた旋律は、シチリアの古い民謡からとられたものである。歌声は次第に近づき、やがて、その妖艶な姿を現したローラは、サントゥッツァなど眼中にもないといった態度でトゥリッドゥに話しかける。それをイライラしながら見守っていたサントゥッツァが、とうとう我慢しきれずに皮肉をこめて言い返すと、ローラは相変らず鼻先きであしらいながら、再び上の旋律にのって、ひとり教会の中に入っていく。ローラのすがたが見えなくなった瞬間、さきほど彼女の登場で中断されていた2人の争いが再開される。
「いまの態度はなんだ!」と怒るトゥリッドゥにサントゥッツァは「おねがいだから、どうか、あたしを棄てないで」と情熱をこめた口調で嘆願する。そして、はげしい怒りの言葉をくりかえすトゥリッドゥとサントゥッツァの嘆願がなおも交互にいりまじり、ユニゾンで重なりあったあげく、とうとう彼女を突き倒してローラのあとを追っていったトゥリッドゥに、サントゥッツァは、初めて、腹の底からの憎しみをこめた呪いの言葉を投げつける。そして管弦楽が力強い後奏をつづける中で、彼女は絶望のあまりその場にたおれてしまう。

〔二重唱〕
そこへ再びアルフィオが登場すると、サントゥッツァはすぐさま、トゥリッドゥがローラと連れだって行ったことを彼に告げる。(管弦楽に「ロマンツァ」の旋律が反復される) びっくりしたアルフィオに、彼女は更に言葉をついで、ローラが亭主の眼を盗んでトゥリッドゥを自分から奪いとってしまったのだと、情熱をこめた口調で打ち明けると、最初は耳を疑っていたアルフィオもようやく事の次第を納得する。そして、たちまちはげしい怒りに燃えたアルフィオは、自分の名誉を汚したトゥリッドゥとローラヘの復讐を誓って、その場

〔間奏曲〕
ここで、誰もいなくなった舞台を前に、管弦楽による美しい間奏曲が演奏される。これは、ただでさえ短かく激しいドラマを一挙に最後の爆発点に導く代りに、ほっと一息入れることによって、かえって悲劇的結末の効果を高める巧みな手法であり、このあとあらゆるヴェリズモ・オペラに利用される定型となっれ曲はまず「祈りの歌」の旋律を回想するような静かな表情ではじまり、主部に入ると弦がユニゾンで奏する情熱的な旋律が、教会の中からひびいてくるオルガンとともに、高らかに歌いあげられる。

〔シェーナおよび合唱と乾杯の歌〕
オペラの冒頭と同じ鐘のひびきと管弦楽の前奏が再現され、ミサが終わった教会から多勢の人々が広場に出てくる。マンマ・ルチアも、広場を横切って、自分の家に入る。そして人々は「さあ、家へ帰ろうよ」と、軽快な合唱昌(混声6部)を歌いながら、それぞれ家路につく。一同のあとからローラとトゥリッドゥも現れる。
トゥリッドゥは上機嫌で男たちに「一杯やろうぜ」とよびかけ、居酒屋のテーブルからブドウ酒のグラスを手にとって、威勢よく「乾杯の歌 Viva il vino spumeggiante」を歌い出すと、人々も混声6部合唱でこれに加わり、全員でもういちどその旋律をくりかえ。ローラとトゥリッドゥはお互いの恋と幸運のために乾杯する。

〔フィナーレ〕
そこへアルフィオがやって来て、一同に挨拶する。トゥリッドゥは彼にも酒をすすめるが、アルフィオは冷たく「お前さんの杯は受けるわけにはいかない」と拒絶する。その瞬間、殺気立った緊張がながれ、低音の不気味な連打のうちに、危険な雲行きを察した女たちはローラをそっとその場から連れ去る。トゥリッドゥとアルフィオは、なお二言三言、短いやりとりをかわすが、そのときトゥリッドゥはいきなりアルフィオに抱きついたかと思うと、彼の右の耳を噛む。それは、シチリアの風習で、決闘を挑むことを意味している。おそろしい緊張と沈黙の一瞬。そしてトゥリッドゥはアルフィオにむかって、やさしい口調て捨てぜりふをいう。「おれが悪いんだから、殺されたって仕方ないさ。だけど、もしおれが死んだら、あのサントゥッツァはかわいそうに、ひとりぽっちになってしまうんだ。だから、お前の心臓にナイフを突きさしてやるぞ!」。アルフィオは、だが冷然と「裏の庭で待ってるぞ」と告げて立ち去る。トゥリッドゥは、居酒屋から母のルチアをよぴ出す。そして、酒に酔ったふりをしなカら、彼女にそれとなく最期の別れを告げ、いつか軍隊に入隊したときのように祝福のキスをしてくれるようにたのむ。そしてくもし自分が帰って来なかつたら、かわいそうなサントゥッツァを母親代りに面倒をみてやっておくれと言い残して、走り去っていく。「トゥリッドゥの別れの歌::母さん、あの酒は強いね Addio alla madre Mamma quel vino e' generoso」
あとに残されたルチアはもう半狂乱で、急いで駆けよったサントゥッツァにしっかりと抱かれる。
いつの間にか、広場は多ぜいの村人たちでいっぱいになっている。恐怖と沈黙の一瞬。そして舞台裏から「トゥリッドゥが殺された!」という女の悲鳴が聞こえてくる。人々はいっせいに絶望の叫び声をあげ、その狂乱状態の中でサントゥッツァとルチアは気を失ってたおれてしまう。管弦楽がフォルティッシモで奏する力強い後奏のうち、急速に幕がおりる。
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全一幕 レオンカヴァルロ(1857~1919)<道化師>

■ 台本:ルッジェーロ・レオンカヴァルロ
■ 作曲:ルッジェーロ・レオンカヴァルロ 1890年
■ 初演:1892年5月21日、ダル・ヴェルメ劇場(ミラノ)
指揮:アルトゥーロ・トスカニーニ
■ 演奏時間:第一幕45分、第二幕25分
■ 時:1865~70年頃、聖母被昇天祭の日(昔は8月1日、
現在は8月16日)
■ 所:イタリア、カラブリア地方モンタルト

登場人物・演奏者

歌劇「道化師」<Pariacci>(レオンカヴァルロ)
ネッダ/コロンビーナ・・・・・・・・・・・・・・・・マリア・アグレスタ
カニオ/道化師・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヨナス・カウフマン
トニオ/タデオ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ディミトリ・プラタニアス
ペッペ/アルレッキーノ・・・・・・・・・・・・・タンセル・アクセイベク
シルヴィオ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アレッシオ・アルドゥイーニ
ドレスデン国立歌劇場合唱団
ザルツブルグ・バッハ合唱団
ザルツブルグ音楽祭および劇場児童合唱団
ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
指揮:クリスティアン・ティーレマン
演出:フィリップ・シュテルツル
収録:2015年3月26・28日4月6日 ザルツブルグ祝祭大劇場(オーストリア)
解説

≪カヴァレリア・ルスティカーナ≫と同様、リコルディに対抗して台頭してきたソンツォーニョ社の一幕物オペラのコンクールに応募した作品だが、一応二幕に分げられていたため最初ははねられた。しかし内容が認められて、≪カヴァレリア・ルスティカーナ≫と組んで二本立で上演されるのが慣習となっている。この題材もレオンカヴァルロの父親が裁判官として実際に扱った事件から取られており、血の気の多い南イタリアの雰囲気を良く出している。このオペラではなんといってもカニオのアリア<衣装をつけろ>が圧巻で、デル・モナーコが東京で上演した時、このアリアの後で皆総立ちとなり我先に舞台の方へ駆け出したのを思い出す。とにかく人を興奮させてしまう曲である。そうでなければどんな名演でもミーハー族みたいにオペラ・ファンが舞台に駆け寄るなどという事はない。レオンカヴァルロはこのオペラを凌ぐ曲を作れなかったために、これが彼の出世作と同時に最高傑作となった。

プロローグ
幕の上がる前に道化師トニオが顔を出し、聴衆に対して「前口上」を歌いはじめる。 <ごめんなさって、紳士淑女の皆様Si puo? Signore! Signori!>  舞台の上では仮面をつけて、面白おかしくお芝居を演じているが、 道化役者もまた血も涙もある人の子、その人間としての苦しみや、悲しみこそ真実のドラマであることをおくみとりください・・・・・。
という言葉の中にこのドラマの本質が語られている。バリトンのアリアとしてひろく知られたこの「プロローグ」は歌い手に広い音域と性格的な表現を要求している難曲である。

第一幕 南イタリア、カラブリアのモンタルトの村はずれ
聖母被昇天祭の日、村人たちは旅芝居がやってくるのを歓声をあげて待っている。そこに馬車に乗った道化師たちが到着する。喝采して迎える村人に座長のカニオは今夜のお芝居に是非どうぞと宣伝をする。
その後で美しい妻のネッダが馬車から降りようとすると、トニオが手を貸そうとするのでカニオは平手打ちを食らわせて追いやる。それを見て村人たちは大喜びで笑いころげる。
教会から夕べの鐘が聞こえてくる。村人たちは <鐘の合唱 Don din don din>をしながら家路につく。
人気の無くなった芝居小屋の前に一人ネッダが現われ、夕暮れに染まった大空を飛びかう鳥たちのすがたを眺めながら、幼い頃母親が歌ってくれたなつかしい歌を口ずさむ。<鳥の歌 Stridono lassu> として名高いアリアで鳥の飛びかうすがたを暗示する管弦楽にのって、ネッダの自由な生活への憧れが歌われる。そこにトニオが現われネッダに言い寄る。しかし彼女は醜いトニオなど馬鹿にして取り合わない。それでも執拗に迫る彼にネツダはむちを打って追い払う。この償いはするぜと捨てぜりふを残してトニオは立ち去る。
そこにネッダの愛人、村のやさ男シルヴィオが現われる。二人は前々から熱い仲だった。ネッダはたった今のトニオの一件を手短に語ったあと、シルヴィオと長大な<愛の二重唱<シルヴィオ、こんな昼間に Silvio, a quest'ora>を歌う。
こんな生活から足を洗って、今すぐに二人で駆け落ちしようと執拗に迫るシルヴィオと、あつい抱擁をかわしながらネッダも恋の陶酔にひたる。この二重唱の最後の場面はワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の<愛の二重唱>を連想させる、陶酔的な音楽である。二人が熱烈な二重唱を歌っている時、裏からそっとトニオがそれを盗み見し、村に飲みに行っているカニオに知らせに走る。二人はそれとも知らず、今夜の駈け落ちの約束をし、別れぎわネツグは「今夜からずっとあなたのものよ」と囁く。その時トニオに連れられて戻って来たカニオがその言葉を耳にし叫びを上げて飛び込んでくる。男は逃げ、カニオは後を追うが土地に明るい男の逃げ足は速く、捕まらない。戻って来たカニオは妻にナイフを突きつけ「男の名を言え」と迫るが、その間に割って入ったペッペが必死にそれをなだめる。
もう芝居の開演の時刻が迫っている。ペッペはカニオに支度をうながし、トニオとともに退場する。
いいようもない苦悩と怒りにぼう然としたカニオはようやく我にかえって涙をぬぐいながら化粧をはじめる。現実の悲しみや怒りも笑いの仮面の下にかくさねばならない道化役者のあわれさを、ここで彼は劇的な アリア<衣装をつけろ Vesti la giubba>の中で歌う。

間奏曲
「カヴァレリア・ルスティカーナ」の場合と同じく、このオペラでも終幕の前に管弦楽による美しい間奏曲がおかれて劇的な効果を高めている。

第二幕 劇中劇
観客たちは我先に前の席を争ってとり、幕の上がるのを待っている、合唱<さあ早く良い席を Ohe! Presto affretiamoci>ネツダが盆を持って木戸銭を集めて観客の間を縫って歩きながら、観客の中にまじっているシルヴィオとそっと今夜の打合せをする。劇中劇の幕が上がるとコロンビーナが一人、夫の留守をいいことに恋人を待っている。その時遠くからペッペの扮するアルレッキーノがセレナーデ<おおコロンビーナ O Colombina>を歌うのが聞こえてくる。ところがそこにトニオの扮する薄馬鹿のタデオが買物籠を持って帰ってくる。そして主人がいないのを幸いにコロンビーナを口説き始める。そこにアルレッキーノが現われ、貴様はどいておれと言って追い出す。二人は色男と情婦よろしく楽しく夕食をする。そこヘタデオが飛び込んで来て、旦那が帰って来ますよと告げるのでアルレッキーノは窓から逃げる。その後姿に「今夜からずっとあなたのものよ」とコロンビーナは囁く。それを聞いたカニオはあの時と同じ言葉だと独りつぷやき、現実の事との一致に思わず我を忘れそうになる。カニオの扮するパリアッチョが舞台に上がってくる。パリアッチョは家の中に他の男がいた様子に妻を疑い、いろいろと詮索を姶める。初めは芝居の筋書き通りに進むが、途中からカニオは現実と芝居の区別がつかなくなり、「男の名を言え」と激しくネッダに迫り、劇的なアリア<もうパリアッチョではないぞ No, pagliaccio non son> を歌う。観客は迫力のある芝居に喜ぶが、だんだん激しくやりとりする二人になにか殺気を感じてくる。ついにカニオはテーブルの上のナイフを取り上げて、男の名を言えと叫ぴ、逆う妻にナイフを突き刺してしまう。虫の息でネッダは「シルヴィオ」と助けを呼ぶ。観客席から飛び出して来たシルヴィオにもナイフを突き立て、総立ちとなる観客の前でカニオは、「これで道化芝居は終わりました」と呆然として言い、この悲劇は終わる。
 

opera102

 投稿者:manon  投稿日:2016年10月 4日(火)10時04分18秒
返信・引用
  2016年12月24日(土)  午後1時30分~
Puccinil
プッチーニ(1858~1924)マノン・レスコー
Manon Lescaut

■原作:アヴェ・プレヴォ著「騎士デ・グリューとマノン・レスコーの物語」(1731年)
■台本:ドメニコ・オリーヴァおよびルイージ・イッリカ
■作曲:ジャコモ・プッチーニ 1892年
■初演:1893年2月1日 イタリア・トリノ王立劇場
■演奏時間:第一幕35分、第二幕41分、間奏曲6分 第三幕17分、第四幕22分
■時・所:18世紀後半。フランス(アミアン、パリ、ル・アーヴル)及びアメリカ(ニューオーリンズの荒野)

解説:プッチーニはこのオペラの成功で、内外に知られオペラ作家としての地位を固めたもので、いわゆる美しいプッチーニ・メロディが充満しており、生彩放つ感情表現は後の名作に通じるものがある。有名な同名の原作に因むオペラはこの作品の前にいくつもあったが、マスネの「マノン」とこの作品だけが
いまなお上演されている。

登場人物
デ・グリュー(騎士)・・・・・・・・・・・・・・・マッシモ・ジョルダーノ(テノール)
マノン・レスコー・・・・・・・・・・エヴァ・マリア・ウェストブレーク(ソプラノ)
レスコー(近衛軍曹、マノンの兄)・・・・・・・・・レスター・リンチ(バリトン)
ジェロンテ・ディ・ラヴォワール(財務官)・・・・・・・・・・リャン・リー(バス)
エドモンド(学生)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ボグダン・ミハイ(テノール)
宿屋の主人 / 船長・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ライハルト・ドルン
舞踏教師・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・グレシミル・スピチェル
音楽家・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・マグダレーナ・コジェナー
道路掃除人・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アルトゥール・エスピリトゥ
ウィーン・フィルハーモニー合唱団
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮 : サイモン・ラトル
演出 : リチャード・アイル
2014年4月16日 バーデン・バーデン祝祭劇場(ドイツ)

第一幕  フランス北部、ピカルデイ地方の中心都市アミアン
学生エドモンドが夜の詩情を歌い上げる。学生に囲まれて彼が歌い進めると、そこに騎士デ・グリューが現れる。皆は彼を仲間に誘うが、デ・グリューにはその気もなく、一同がからかうと、彼は短いソロ<君たちの中にTra voi>を歌い上げ、「栗色か金色の髪、ばら色の唇」と理想の女性像を口にする。一同は宵の楽しみを楽天的に歌う。
広場に乗合馬車が着き、軍人レスコーと妹マノンが降り立つ。一緒に降りた老紳土ジェロンテはマノンに興味のあるそぶりを示し、デ・グリューは、「なんと美しい人だ」と彼女に見とれる。ジェロンテとレスコーは宿に入り、外で独り待たされるマノンのもとに、デ・グリューが近づき、話しかける、二重唱<しとやかなお嬢さん Cortese damige11a>。マノンも名乗り、修道院に入る身の上だと語る。デ・グリューは驚き、考え直すよう彼女を説得する。兄に呼ばれて立ち去った彼女を目で追いつつ、デ・グリューは、アリア<見たこともない美女よ Donna non vidi mai simile a questa>を歌い上げ、燃え上がる恋惰を語る。エドモンドと学生たちが彼の様子を眺める。ジェロンテが現れ、マノンの境遇についてレスコーに訊ねた上で、「白分は国王の財産管理を託されている身分だ」と語る。レスコーは彼の金満ぶりを想像する。ジェロンテは宿屋の主人に馬車と馬を用意させる。彼の行動に目を留めたエドモンドは、デ・グリューに忠告する。戻ってきたマノンに、デ・グリューは愛を告白し、「貴女は誘拐されるかもしれない」と告げてから「白分を別の誘拐者にならせて下さい」と情熱的に訴えかけ、マノンもそれにほだされて二人で出奔する。そこにジェロンテとレスコーが戻る。レスコーは、「二人はパリに行ったに違いない」とジェロンテに語り、「貧乏が嫌いなマノンは、学生の恋人を諦める筈」と妹の行く末を予見する。学生たちの笑い声で幕となる。

第二幕  パリ、ジェロンテの屋敷の広間
いまやマノンは彼に囲われており、優雅な暮らしぶりである。レスコーが部屋を訪れ、妹の美しさをたたえる。マノンは兄に、「別れの言葉も接吻もなく彼から離れました」と語り、デ・グリューの消息について訊ね、美しいアリア<このカーテンの柔らかい襞の後ろの In quelle trine orbide>を歌う。レスコーは妹に、自分はデ・グリューとも友達になったと明かし、「彼は勝負事で金を得て、お前に近づく道を作るだろう」と語る。マノンは、デ・グリューがやってくると聞き、彼への愛情を蘇らせる。ジェロンテが手配した歌手たちが現れ、マドリガーレ<君さすらう山頂に Sulla vetta del monte tu erri>を
歌うがマノンの興味を惹かない。続いて舞踏教師が現れ、彼女にメヌエットを踊らせる。ジェロンテが出てきて彼女を賛美する。彼はマノンを外に連れ出そうとするが、彼女は、しばらく待っていてほしいと告げて皆を追い出す。彼女が独りで鏡を手にすると、突然、デ・グリューが現れる。彼はマノンを非難し続けるが、最後には彼女の愛の訴えに折れてしまう。ジェロンテが現れ、マノンに皮肉を言って姿を消す。デ・グリューはマノンに、今すぐこの場を去らなければ危険だと忠告するが、マノンは、富にまかせた生活に未練たっぷりの様子が隠せない。デ・グリューは<ああ! マノン、君は僕を裏切るAh! Manon,mi tradisce>と激情を露わにする。そこにレスコーが現れ、ジェロンテがマノンを告発したと知らせる。デ・グリューとレスコーは、マノンを急かすが、彼女は手持ちの宝飾品に気をとられ、ぐずぐずする。するとジェロンテが兵士を従えて
舞い戻り、マノンを連行してしまう。

第三幕  ル・アーブルの港
有名な間奏曲が演奏され、ル・アーヴルの港に近い広場になる。デ・グリューとレスコーが現れ、マノンを奪還するべく打ち合わせをする。合図をすると、兵隊たちの目を盗んでマノンが窓際に現れ、デ・グリューの姿を見て嬉しさに震える。二人は、もうすぐ一緒になれると希望を歌う。しかし、一発の銃声がして、レスコーが息せき切って現れ、不意打ちが失敗したと悔しがる。マノンは再び窓辺に姿を見せて「逃げてドさい」と二人に懇願してから消える。兵士たちが現れ、北米への出港準備が整ったことを知らせ、女囚たちを一名ずつ点呼し、船に乗せる。マノンも姿を見せ、群衆たちは彼女の美貌に感嘆する。レスコーは人々に、マノンの哀れな運命について語り、デ・グリューは「人と神とを憎む」とまで口にして錯乱の境地に至った挙句、突然前に進み出てマノンを抱きしめる。人々が騒ぐと指揮官が現れる。デ・グリューは彼の前に身を投げ出して、<ご覧ください、僕は狂っています Guardate,pazzo son>と叫び、マノンと共に乗船させて欲しいと涙ながらに頼み込む。心動かされた指揮官は、彼を船に乗せてやる。

第四幕 アメリカ、ニューオーリンズ郊外の平原。
マノンとデ・グリューが、みすぼらしい格好で歩き続けている。体力を消耗し、喉の渇きを訴えるマノンに、デ・グリューは、救いの手を探しにゆく。マノンはアリア<独り捨てられてSola,perduta,abbandonata>を歌い、「死にたくない」と何度も口にする。デ・グリューが戻り、どこまで行っても、何もなかったと落胆する。マノンは死を予感し、デ・グリューに最後の愛の言葉をかけてからこの世を去る。デ・グリューは、彼女の亡骸の上で慟哭する。
 

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